リハビリ 物理療法

骨電気刺激法による骨癒合の促進とは‼

 

骨電気刺激法とは

骨折の治療に対してはいままでのところ内固定や外固定法が行われてきました。

キッチナー(Kintcher)による髄内固定法は内固定の代表的なものであり、外固定ではAO法による圧迫法をはじめ種々の外固定法があります。

骨折時の理学療法的アプローチとしては局所の安静、固定を守りながら機能的固定を保持しての良肢位保持。

廃用性筋萎縮を予防するうえで固定されている筋へのマッスルセッティング、周辺関節の可動域維持等が行われています。

骨電気刺激法はこれら内固定、外固定に加えて電気刺激によって骨芽細胞の増殖を促し、骨癒合を促進させようとするものです。

初めは遷延治癒骨折など難治性のものが対象とされていましたが、最近では新鮮骨折、神経、靱帯修復等を目的として広く用いられるようになってきました。

偽関節に対する治療として臨床的に骨電気刺激が用いられたのはペンシルバニア大学のカールブライトン教授(CarlTBrighton,1971)の理論に基いています。

すなわち9V・10mAの直流日電流を一定期間常時通電させることにより仮骨形成を促進するというものです。

この通電時間は多くは12時間から24時間程度の連続通電が多いです。また、骨折の治癒過程ではこの骨電気刺激法と超音波の選択があります。

どちらも骨の癒合を促進しますがどちらも骨芽細胞を刺激することで骨細胞へと分化させることで骨折の治癒を促します。

骨の電気現象とは

1953年、保田らによって骨に圧電気現象がることが発見されました。

骨組織は非常に固いものと考えられていたが、骨に荷重が加えられるひずみが生じ荷重をとり除くとまた元の形に戻るという現象が確認されました。

長管骨にて長軸方向に圧力を加えた場合、骨にたわみが生じ凸面に正の凹面に負の帯電が起こることを認めました。

すなわち骨に力を加えると電気が生じ、また逆に電気振動を加えると骨が機械的振動を起こすという現象が起きたのです。

これがいわゆる「骨の圧電気現象」であり、骨のピエゾ効果ともいいます。

ピエゾ効果は骨に電気を流すことで振動させたり圧力を加えることで電気を流す現象です。この状態で骨が電荷を帯びるとカルシウムイオンが骨に定着し骨造成します。

正確には骨芽細胞が骨細胞に分化して骨を修復します。

脛骨などの長管骨は若干曲がって少し曲線を描いているのはこのたわみを作るためだと言われています。

脛骨にこの曲線を作らずに棒状の真っすぐな骨にするとたわみが生じず骨折しやすくなると言われています。

長軸方向への圧力に対する耐久性はこの僅かな曲線によるたわみで約11倍の耐久性があるともいわれています。

骨電気刺激の作用機序と効果とは

微弱電気刺激が骨療合を促進させることは一般的認知を得るまでにはなりましたが、その作用機序が解明されたとはいえません。

しかし、現在までのところ作用機序としては次のようなことがあげられています。

(1)陰性での酸素分子の消費と周囲組織の酸素分圧の減少と同時に水素イオン濃度が上昇することによる陰極でのアルカリ性が石灰化を促進する(Brighton)

(2)細胞表面および結合部における電気化学現象(Bassett)

(3)電磁場内における細胞表面の電荷の動的変化による環境への影響;細胞の賦活、骨誘導(Kraus)

(4)電気刺激による体液のカルシウムイオン移行、骨の間葉細胞の賦活による骨芽細胞の発生促進、血管増生に伴う骨形成の促進(Pilla、湯川)

(5)電気刺激による外骨膜、内骨膜間の電位差による脱分極が骨形成を促進(Janssen)

(6) 骨芽細胞の副甲状腺ホルモンの感受性が抑制され骨吸収が骨形成を促進

(7) コラーゲン、骨細胞,cAMP の増殖。前述した Brighton によって内果骨折後の偽関節14例に直流電気刺激を行ったところ70〜78%の治癒率が得られたと初めて報告した(1971年)

最終的な骨移植による治療率は80%程度といわれてきましたが、骨移植に代わる骨電気刺激による治癒率は80〜85%とされています。

骨電気刺激法はあくまでも刺激法であり、骨癒合法ではないので偽関節、遷延治癒骨折部に刺激に反応する細胞の存在が必要です。

骨電気刺激法の適応

(1)偽関節(折れた骨がくっつかずにグラグラしている状態)を形成している両骨片の壊死

(2)内固定された両骨片が退縮して骨折線が開大し両骨片が接触していない場合

(3)骨萎縮が高度で偽関節部の骨片が細くなっている場合

(4)骨シンチグラムで集積を認めず完全に鎮静化した偽関節

(5)高度な軟部組織損傷を伴う開放性骨折、数回の観血的骨接合術と骨移植術によって両骨片が瘢痕組織に取り囲まれ血液循環が阻害されている状態

(6)健常な骨膜が残っていないと考えられる場合

(7) 偽関節が感染し膿が貯留している場合

(8) 先天性偽節症

(骨シンチグラフィとは、骨に集まる放射性薬剤を静脈投与した後、放射性薬剤の集積程度を特殊なカメラ(ガンマカメラ)で撮像することにより、骨の代謝状況(骨吸収と骨形成)を調べる検査です)

基本的には荷重訓練や歩行訓練が骨を増強する理由が骨を電荷させることであり、荷重が困難であれば電流を流して骨を増強させようという考えです。

適当な時期にくれば勿論荷重していきますし、荷重が無ければ骨は十分な骨量を得ることが難しいです。

 

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