接遇 理学療法

【接遇なんてとは言わせない!】接遇がリハビリに必要な理由を科学的に証明!!

接遇マナーって何?

 

接は『近づく』遇は『もてなす』という意味を表す漢字です。接遇とはおもてなしの心をもって接するという意味です。

お客様により良いサービスを提供するためのスキルであり、円滑なコミュニケーションや信頼関係を築くためには不可欠な要素ともいえます。

接客業では顧客に満足してもらうために接遇指導があります。中でも接遇マナーの頂点はホテルの従業員だと思います。

徹底されていますよね。特に高級ホテルなら最高に気持ちよく過ごせるように細部にまで気を遣っています。

接客マナーと接遇マナーの違いって何?

 

接客は「スキル」接遇は「マインド」と言われています。接客は丁寧な対応をする技術を表しており、接遇は気持ちよくその時間を過ごしてもらおうという心遣いといった感じでしょうか?接客は機械的なイメージですが、接遇はもう一歩踏み込んだ丁寧さを感じます。

接遇マナーの5原則

 

挨拶

コミュニケーションの最初の一歩目は挨拶だと思います。昔、芸人のコロッケさんがどんな世界でも通用する一番の武器は気持ちよく挨拶することだと言っていました。

気持ちよく毎日挨拶する人を嫌う人はいません。

挨拶のポイントは気持ちよくする事だと思います。

あ・・・明るく

い・・・いつでも

さ・・・先に

つ・・・続ける

こんな標語みたいなものもありますよね。やっぱり挨拶は明るく相手を向いて笑顔でよく通る声でしましょう。私はものすごく気にかけていて毎回しっかりと挨拶は欠かしません。

身だしなみ

清潔感とある程度の好感のもてる格好が大切です。ボサボサの髪の毛やユニフォームから透けて見える派手なプリントはNGだと思います。

病院や施設の規則があると思うので、そこまで大きく的外れな身だしなみは無いと思いますが、お洒落さはある程度許容されるべきだと思います。

ただし職場の雰囲気を決定づけるので職場のスタイルに合わせるのが大切ですね。

表情

目は口ほどのものを言います。大切なのは相手の感情やその場の状況に応じて表情をしっかり作る事だと思います。もちろん、普段は笑顔で満面の笑みでOKです。

でも、相手が真剣な話をしていれば真剣な顔で、悲しい話をしていれば悲しい表情をつくることはとても大切です。

もしも、相手が悲しい話の時に満面の笑顔では相手は非常に不快な想いをすると思います。

リハビリの時に仏頂面では相手もコミュニケーションがとりづらいです。

言葉遣い

やっぱりTPOに合わせた言葉遣いが必要です。っていってもそのままですよね?

基本的に医療従事者は接遇のプロではなく、医療のプロなのでホテルマンのような仰々しい接遇は必要ないと思います。

ただし、敬語や丁寧語は絶対に必須のスキルです。

大事な事なのでもう一度言います。敬語や丁寧語は必須のスキルです。

 

よくある言葉遣いにタメ口がありますよね?結構見ます。個人的には絶対にNGだと思っていますが、セラピストの多くは親近感を出すためにあえてタメ口で喋るって人が多いです。

もしかしたらタメ口の方がいいとフランクな喋り方が好きな方もクライアントにいるかもしれません。ですが毎回、人に合わせて喋り方を変えるのは難しいです。どんどん慣れて行って他の方にもどんどんタメ口になっていきます。

喋り方はその人の品格を表します。尊敬される人の喋り方は穏やかであったり品があります。タメ口は子供っぽく見られたり安っぽく見られますので折角の経験値も台無しです。実力以上に相手に信頼されるには丁寧な言葉使いが一番の武器だと思います。

態度

いわゆる立ち振る舞いの事です。杖や装具を片付けるときにバンッ!ドカン!と大きな音を立てるのはイメージが悪いですね。

また髪の毛を触りながら話したり腕を前で組む行為やのけぞったり足を組んで話すことは職場でみかけませんか?

足を広げて胸を張って腕を後ろで組むと軍隊みたいで圧迫感ありますよね?

やっぱり医療スタッフの態度は視線の高さを合わせる事と適切な距離で話す事が一番大切だと思います。

医療接遇って何?

医療人は接遇のプロではなくあくまで医療のプロですから、必要に応じて必ずしも懇切丁寧な対応ばかりとは限りません。

緊急事態は正に言葉使いも態度も関係なく救命処置が最優先です('ω')

また認知症の方には長い文章よりも簡潔な短い言葉の方が理解しやすいのも事実です。(あくまで優しく)

そこで大まかに分けてみました

 

ちょっと大雑把ですが表でわけるとこんな感じでしょうか?

それでは実際の接遇に関する内容を一歩踏み込んでみましょう

パーソナルスペースを把握して適切な距離を保とう!

 

パーソナルスペースって聞いたことがあるでしょうか?接遇研修やコミュニケーションの研修ではよく出てくる言葉ですね。

パーソナルスペースとは、人の心理的なテリトリーのことです。これ以上踏み込んでほしくない領域とでもいいいましょうか。

人の心にはある程度の距離であれば普通に接することができても、それ以上踏み込まれると不快な気持ちになったり嫌悪感を抱いたりするテリトリーがあります。

テリトリーの広さには個人差がありますし、相手との関係によって広くなったり狭くなったりします。

好きな相手であればパーソナルスペースは狭くなり相手を受け入れますが、嫌いな相手ではパーソナルスペースは広がり近づいてほしくないと思います。

このようにパーソナルスぺスペースは相手との関係によってその広さが変わってきます。

男女差や年齢、国の文化、性格、交流機会の回数などでも変化しますし、状況や、好み、体調によっても変化します。

電車の関で空いていれば人のすぐ隣ではなく少し離れて座りますよね?男性用トイレでも空いていればまず隣には行きません。

この行動は心理的圧迫感を感じるからです。つまりお互いのパーソナルスペースに侵入しているから起きるわけです。

パーソナルスペースの分類を知って距離感を測ってみよう

アメリカの文化人類学者、エドワード・T・ホールは、人のパーソナルスペースを相手との関係をふまえて4つのゾーンに分類しました。

①公衆距離:3.5m以上

講演会や演説など公式な場で見られ、話す側と聞く側との間に必要とざれる広さです。

自分と相手との関係が公的な関係ある時に用いられます。

一般の人が社会的な要職・地位にある人と正式な会合・イベントで面会するような場合に取られる距離です。

 

②社会距離:1.2m~3.5m

あらたまった場や業務上で上司と接するときにとられる広さです。

声も顔も確認できますが、手を伸ばしても相手に触れることができない安心できる距離です。

商談の際のデスク越しの会話などはこの距離が設けられるケースが多いです。これ距離は緊張感のある距離関係といえます。

 

③個体距離(対人距離):45cm~1.2m

二人が共に手を伸ばせば相手に届く広さです。友人や会社の同僚など親しい人であればここまで入っても不快になりません。テーブル越しの距離でしょう。

お互いの表情が読み取れる距離感でありながら、自分と相手が手を伸ばせば触れることがでさる広さです。

パーソナルスペースは楕円に大きく作られることが多いです。

前方に広いことが多いので45cmでも隣り合う距離ならそこまで不快に感じなくても正面から45cmではかなり仲の良い関係で無いと厳しいかもしれません。

 

④密接距離:0cm~45cm

手を伸ばさなくとも相手に触れることが出来る距離です。

顔がとても近い位置にあり、キスやハグが容易にできます。

家族や恋人など、親しい人がこの距離にいることは許されますが、それ以外の人がこの距離に近づくとハッキリと不快に感じます。

この距離は特に会話をするというよりも配偶者や恋人、子供へのスキンシップの距離だと言えます。

 

大体イラストで描くとこんな感じでしょうか?

男女でのパーソナルスペースはこんな感じです

 

年齢的には子供はパーソナルスペースが狭いので小児リハをみるときはスキンシップ出来る距離でリハビリがいいと思います。

段々年齢とともにパーソナルスペースは大きくなっていき40才ぐらいまではパーソナルスペースは大きい状態です。

高齢者のリハビリではパーソナルスペースは狭くなっているので再び接近しやすい状態と言えますね('ω')

ただし、このスペースは関係性で構築されますのでどういうラポール(信頼関係)を築くかでリハビリの際の接し方も変わると思います。

では接し方のポイントを押さえておきましょう。

①初対面では必ず自己紹介をする

②自己紹介の前のあいさつは十分な距離(社会的距離から対人距離)をとる

③正面からではなく斜め前から接近する

④目線を同じ高さにする

ここまでを十分に気を付けていきましょう('ω')

では次に会話や態度についての話をしたいと思います

バーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションって聴いたことありますか?

ノンバーバルコミュニケーション(Non-Verbal Communication)とは日本語で「非言語コミュニケーション」

コミュニケーションには、「バーバルコミュニケーション」「ノンバーバルコミュニケーション」と呼ばれる二つの方法があります。

 

・バーバルコミュニケーション(言語的コミュニケーション)

「言語」を用いたコミュニケーションです。ノンバーバルコミュニケーションと違い、文法を用いて行います。

対面でのコミュニケーションだけでなく手紙やメールもバーバルコミュニケーションの一つです。

人間だけがこのバーバルコミュニケーションを持っています。これは人間の進化の仕方に答えがありますね。少し気になる方はこちらをどうぞ。

 

・ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)

表情や声のトーン、ジェスチャーなどの「言語」以外の情報を用いたコミュニケーションです。

人間の五感によって「感じる」コミュニケーション方法であり、第一印象も大きく影響すると言われています。

人間以外の動物は皆、このノンバーバルコミュニケーションを使っています。

人間も言語を獲得するまではジェスチャーや唸ったり、泣いたり、吠えたりでコミュニケーションをとっていたので、この効果は絶大です。

細かい意味は伝えられませんが感情は言語以上に伝えられます。

外国人は非常にこの部分が強力です。多民族国家で言語の異なるもの同士では必然的にこのノンバーバルが発達します。

「メラビアンの法則」ではコミュニケーションの93%を占める

 

アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1970年代に行った実験によると、「話し手」が「聞き手」に与える印象の中で、話している言葉そのものが影響している部分は全体のわずか7%であり、その他93%はノンバーバル(非言語)の要素であるということでした。(メラビアンの法則)

 

視覚情報…見た目、身だしなみ、表情(視線)など…55%

・聴覚情報…声の質・大きさ・速さ(テンポ)…38%

・言語情報…話す言葉そのものの意味…7%

 

つまりリハビリや日々の生活において円滑なコミュニケーションを取るためには、話す内容はもちろん、それ以上に「視線」や「話し方」なども重要であることが言えます。

優しく、分かりやすく、比較的よく通る声で(怒鳴らない)喋りましょう。

気を付けるのは会話のテンポです。相手のテンポに合わせると会話は弾みやすいです。

緊急事態で電話をかけたときに携帯ショップ並みのゆっくりと丁寧な対応では逆に腹が立ちますよね?

思いやりは丁寧な対応というよりも相手の立場に立って相手が楽になれるように工夫すべきです。

急いでいれば少し早いテンポで返事をしてあげましょう。

逆に相手が怒っているときはゆっくりと話すと相手もこちらのテンポに無意識に合わせるので冷静さを取り戻しやすいです。

具体的な例をあげますね('ω')

例えば、声の質や声色で「喜んでいる」「興奮している」という相手の精神状態を読み取ることができます。

『ありがとう~を優しくいったり、つっけんどんに言ったり、大げさにいったり、抑揚をおさえて言ってみて下さい。

優しく言えば感謝が伝わりますし、つっけんどんに言えば嫌味に聞こえますよね?大げさに言えば喜んでるのが伝わるし、抑揚がなければ興味がないと受け取られます。

どう感じるかを理解してどう伝えようかを考えましょう。

 

あるいはいきなり声の大きさやトーンが変わると「今から大事なことを話そうとしている」と会話の流れを予想したりもします。

話すスピードも重要な要素です。早口に話していることで「興奮している」と読み取ったり、言葉と言葉の「間」を微妙に変えるだけで、同じ内容でもまた違った印象を与えることが出来ます。

新人の頃は背伸びしたいことも多いと思いますが、ここで謙虚で真摯な姿をしっかり作りましょう。

心と行動は鏡合わせです。行動が変われば心構えも変わるものです。

謙虚で真摯な姿が実は一番『大人な姿です』

次に態度の話をしますね。

 

 

例えば、大きなことを説明する時に腕を大きく広げたり、「あそこ」という言葉を使う時にその方向を指で示したりと、私達は日々無意識レベルで言葉に合わせたジェスチャーを取っています。

イライラするときに髪の毛をクシャクシャ掻いたり、指や爪先をカチカチならすのも相手に怒りを伝えるメッセージになってしまいます。

聞き手の場合、話の合間でうなずいたり相槌を打つことで、話を聞いていること・理解していることを話し手に伝えたりすることもできます。

動作には「姿勢」も含まれ、肘をついたり椅子にのけぞった姿勢は「だらしない」「不誠実」な印象を与えます。

伸ばした姿勢は「真面目」で「真剣」な印象を与えるます。

腕を胸の前で組んでいれば偉そうに感じ威圧的に感じます。

絶対に損をします。クライアントとセラピストはラポール(信頼関係)を築く必要があります。

だってリハビリは患者自身が努力をして能力を身に着ける仕事だからです。

私たちリハビリスタッフはそのお手伝いをするのが仕事です。

嫌いな先生の授業は成績も悪いですよね?興味のないものや嫌悪するものを頑張れる人はいません。

リハビリの成果を出すのは知識や技術だけではなくこういったホスピタリティ(思いやりの心)が凄く大切です。

 

いかがでしてたでしょうか?リハビリに接遇が必要な理由でした(;^ω^)

第二弾を別の記事で書きますので読んでいただければ嬉しいです。

 

追記

私が仕事をしていてよく思うことがあります。ここから先は感想なので興味のない方は戻って大丈夫です。

自分が怪我や病気をしたら不安だと思います。

治るのかな?

仕事や試合に間に合うのかな?

後遺症が残るのかな?

そんな時に全く同じ技量のセラピストがいたら

絶対に優しくて丁寧で説明をしっかりしてくれる人が担当になって欲しいですよね?

そう思ってもらえるように仕事に励んでおります。

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