温熱療法 物理療法

赤外線:infrared therapy

赤外線療法とは

太陽光をプリズムを通してみると、紫(波長0.4μm)から赤(同0.7μm)の可視光線に分けられる。さらに波長0.75μm(0.75ㆍ10⁻⁶m)から15μmのところには、目にはみえないが温熱作用を有する赤外線が存在する。赤外線療法はこの赤外線の特性を利用している。赤外線はその波長により、①近赤外線:0.75〜1.5μm②遠赤外線:1.5〜15μmに分けられる。近赤外線は赤外線のなかでも皮膚透過力が比較的強い。近赤外線の34%は表皮で反射されるが、20%は表皮浅層、16%は深層、19%は真皮にそれぞれ吸収され、残り11%は皮下へ伝導される・透過力は比較的強く、5mm〜1cmである。一方、遠赤外線は皮膚透過力は小さく(1mm程度)、皮膚深層への温熱効果はない。

 

左の方が波長が短く、右に行くほどに波長が長くなります。波長が短いものは高周波で、長いものは低周波になります。波長は波の間隔なので高周波は単位時間に対して波が多く、波長は短いということになります。逆に低周波は単位時間で波の数が少ないので波長が長くなります。

波の数が多いほうが同じ時間で(単位時間)エネルギー量は大きくなるので上の図で見るとガンマ線が最もエネルギー量が大きく大変危険な放射線ですね。

それに対して右に行くほど波長が長くエネルギーが小さくなります。

また、高周波は浸透率が低く、低周波ほど浸透率が高いのが特徴です。そのため紫外線はこの図であると可視光線の紫よりも短い光線であり、赤外線は赤よりも長い光線です。

夕日のタイミングは太陽が低くなっているので通過する空気の量が多いので浸透率の高い赤色だけが目に届くわけです。

そのため朝日は紫の空色ですよね。

ガンマ線は一番短いので高エネルギーであり命を奪う大変危険な放射線ですし、紫外線もウィルスや菌程度なら殺す力を持っています。

放射熱の3つの法則

逆二乗の法則:inverse square law

物体が受ける照射強度は、放射源(熱源)と物体との距離の自乗に反比例するすなわち、熱源と物体との距離が2倍になれば、単位面積当たりの照射強度は1/4になり、3倍になれば1/9になる。このことは、赤外線を患者に照射させるときの重要な留意事項になる。

 

ランバートの余弦則:Lambert's co-sine law

熱源を患部に照射する場合、照射角度θが垂直(cos0°)であれば最大の照射量になるが患部に平行(cos90)に照射するとその照射量は0になるこのことから、効率良く赤外線を照射するには患部に垂直に照射する必要がある。

 

ウィーンの法則Ween's law

すべての物体は絶えず赤外線を放射しているが、発熱体の表面温度とその物体が発する赤外線の波長には一定の法則がある.すなわち、波長λ(ラムダ)(μm)=2.898/絶対温度K(発熱体の表面温度[℃]+273)で表される、たとえば、0℃の氷からは、2.898/(0+273)=10.6μmの遠赤外線、37Cの生体からは9.3μmの遠赤外線、2.700℃のタングステン白熱ランプからは0.97μmの近赤外線が放出されている。

手を合わせる手前で止めてみるとお互いの手の暖かさを感じると思います。これは手の平から放出されている赤外線で互いの手の平を温めているためです。

赤外線カメラで暗所でも映るのはこの物体が放出している赤外線の波長をとらえているからですね。

生理学的作用

血管拡張作用:

皮膚の血行増大がみられるが筋内の血行増大はない。皮膚の血行増大はヒスタミン様物質が分泌され毛細血管に作用すると考えられている。

紅斑:

赤外線照射中に紅斑が現れる。これは血管拡張作用によるものである。一般に照射後1時間でこの紅斑は消失する。

色素沈着:

赤外線を繰り返して照射すると色素沈着を生じる。紫外線による均一な日焼けとは異なりまだらになる。これは日焼紅斑とよばれ赤血球の破壊により生じる。

鎮静作用:

中等度の温熱は知覚神経終末に作用し鎮静効果をもつ。

 組織温上昇

温熱作用:17パイロン、発赤:14パイロン(3)、疼痛:18パイロン、水疱形成:28パイロン(3)、皮膚温が45Cに達すると火傷を起こす。

軽い充血作用および鎮静作用:1~3パイロン(20分)充血作用及び刺激作用:4~7パイロン(20~30分)

1~3パイロンは『気持ちい暖かさ』4~7パイロンでは『少し熱い~熱い』に相当

適応

外傷:亜急性慢性期の捻挫挫傷の治療。

浅層の関節炎,腱鞘炎の痛み。

創傷と感染:皮膚充血作用は滲出物の吸収作用があり細菌の壊死にも有効とされる。

RA(慢性期):痛みや筋スパズムを鎮静化する。

リウマチに関しては温熱療法の適応です。光線療法は皮膚や関節に力学的なストレスを与えないので効果的な手段だと言えます。

禁忌

①アテローム性動脈硬化症、ビュルガー病

②皮膚炎、湿疹

③知覚麻痺

 

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