Brunnstrom Recovery Stageとは
Brunnstrom Recovery Stage(ブルンストローム・リカバリー・ステージ)とは、脳卒中後の片麻痺の回復過程を、共同運動から分離運動へと至る6段階(上肢・手指・下肢をそれぞれI〜VI段階)で表す評価法です。物理療法士Signe Brunnstromが考案し、発症直後の弛緩から、共同運動の出現、随意的な分離運動の獲得という回復の順序を標準化しました。日本では脳卒中後の回復期リハビリテーションで広く用いられ、回復予測と治療方針の決定に活用されます。
どこでみるのか
回復期リハビリテーション病棟・脳卒中病棟・リハビリテーション科・訪問看護で遭遇します。臨床現場では、①脳卒中後の麻痺の初期評価、②回復の見通しの説明(本人・家族へ)、③訓練目標の設定と進捗管理、④治療法の選択(共同運動を活用するか分離運動を促すか)、⑤退院・在宅復帰の判断などの場面でBrunnstrom Recovery Stageが問題となります。患者訴えは「腕が自分で上がらない」「指が開かない」「歩くときに足が内巻きになる」などで、麻痺の見え方を回復段階の文脈で読む視点が求められます。
何をみているのか
着眼点は、①上肢・手指・下肢のそれぞれの段階(I〜VI)、②弛緩期の有無(第I段階)、③共同運動の形成(屈曲・伸展パターン)、④随意的な共同運動の出現(第IV段階以降)、⑤分離運動の獲得(第V〜VI段階)、⑥協調・速度・精度の回復、⑦経時的な変化(回復の速度・停滞)、⑧日常生活動作との対応です。段階は回復の「順序」を示すものであり、数字そのものが機能の良し悪しを意味しない点も踏まえて読む視点が最重要です。
臨床でどうみるか
具体的には、上肢では手を伸ばして動かす動作(前方挙上・肘の伸展)、手指では握る・開く動作、下肢では股関節・膝関節の分離動作を課して段階を判定します。判定は随意運動を引き出す条件(姿勢・指示)をそろえて行い、左右の違いを明確にします。治療への応用は、段階に応じて変わります。共同運動期(第II〜III段階)では共同運動を積極的に利用しながら、上肢と手の協調・握る機能の回復を図り、分離運動期(第IV〜VI段階)では分離運動と動作の速度・精度を伸ばします。評価は定期的に繰り返し、回復の停滞が見える時期から訓練方針の見直しと代償手段(自助具・環境調整)を検討します。
評価で何をみるか
Brunnstrom Recovery Stageの評価では、段階・経過・機能を確認します。
- 上肢の段階 - I〜VIの判定
- 手指の段階 - 握る・開くの回復
- 下肢の段階 - 分離動作の獲得
- 共同運動の性質 - 屈曲・伸展の形
- 随意的な分離 - 段階の進行
- 経時的変化 - 回復速度・停滞
- 日常生活動作 - 段階との対応
これらは相互に関連します。上肢・手指・下肢を別々に判定し、回復の速度と停滞を時間軸で追うことで、訓練と代償のバランスを決めることが、評価を正確にする核心です。
臨床でよく出る問題
Brunnstrom Recovery Stageに関連して臨床で生じやすい問題は以下の通りです。
- 共同運動への固定 - 分離運動への移行不足
- 手指の回復の遅れ - 精細動作の障害
- 回復の停滞期 - 訓練方針の再考
- 段階と生活のずれ - 評価の解釈
- 判定のぶれ - 評価者・条件の影響
- 回復予測の難しさ - 個人差の大きさ
これらは相互に影響します。段階の停滞が意欲を落とし、意欲低下が訓練量と回復を落とす悪循環が生じます。段階の数字を本人に伝える方法を工夫し、停滞期の訓練方針を早期に見直すことが、問題整理の核心です。
起こりやすい要因
回復の停滞をきたしやすい背景には以下があります。
- 障害の範囲・部位 - 錐体路の損傷度
- 発症時の重症度 - 初期の状態
- 加齢・合併症 - 回復力への影響
- 不活動の期間 - 機能低下の蓄積
- 痛み・痙縮 - 動作の制限
- 心理的要因 - 意欲・不安
これらは重複して回復を左右します。障害の大きさが回復の上限を決め、痛みと不活動が停滞を長引かせます。病態と経過を組み合わせて捉えることが、判断の鍵です。
注意したい症状
Brunnstrom Recovery Stageで注意すべき見逃せないサインがあります。
- 段階の低下・後退 - 再発・合併症の確認
- 共同運動の強まり - 痙縮の増悪
- 手指の拘縮の兆候 - 屈曲姿勢の固定
- 痛みの出現 - 肩手症候群などの合併
- 左右差の増大 - 健側の障害
- 意識・認知の変化 - 随伴障害
これらはさらに精査と早期対応に直結します。段階の後退では再発と合併症を確認し、痛みの出現では肩手症候群の管理を優先します。段階と所見の変化を定期的に記録し、見逃さないことが、安全確保の基本です。
対応の基本
Brunnstrom Recovery Stageへの対応は、評価・訓練・説明の三層で組みます。
- 段階の判定 - 上肢・手指・下肢
- 定期的な再評価 - 回復の見通し
- 段階に応じた訓練 - 共同運動から分離へ
- 手指の機能 - 早期からの促通
- 代償の検討 - 停滞期の工夫
- 本人・家族への説明 - 目標の共有
Brunnstrom Recovery Stageは回復の「道しるべ」であり、段階に応じて訓練を組み替え、停滞期の判断を早めることが最重要です。数字を目的にせず、生活機能の回復へつなげることが、最も重要な実践です。
ひとことで言うと
Brunnstrom Recovery Stageとは、脳卒中後の片麻痺の回復を共同運動から分離運動へ至る6段階で表す評価法です。段階に応じた訓練の組み替えと、回復の見通しの共有が基本です。
関連用語
参考文献・出典
- ブルンストローム・ステージの評価方法|リハビリに活かす麻痺
- ブルンストローム・ステージ(Brs)テストの流れを解説
- ブルンストロームステージ(Brs)とは?評価方法とその注意点
- 【2026年版】ブルンストロームステージとは?Brunnstrom
- ブルンストロームステージとは?評価方法・流れ・ポイントを解説
- ブルンストロームステージ(手指)でわかる回復の段階と、手の
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