乳酸(にゅうさん)

乳酸は解糖系の生成物のひとつである。急激な運動を行うと筋肉の細胞内でエネルギー源として糖が分解されピルビン酸を経て乳酸が蓄積する。

筋疲労との考え方は時代を経て変化している。

カエルの筋肉を使った研究に基づき 1929年に Hill らが提唱して以来、乳酸は筋肉疲労の原因物質として考えられてきた。これは、乳酸の蓄積によるアシドーシスにより収縮タンパクの機能が阻害されたためと理解されていた。

しかし後の研究において、アシドーシスを筋肉疲労の原因とする説に対して反証が報告されてきた。そして2001年に Nielsen らによって、細胞外に蓄積したカリウムイオン K+ が筋肉疲労の鍵物質であることが報告された。その後、K+ の添加により弱められた筋標本について乳酸などの酸を添加すると、従来の説とは逆に回復がみられた。2004年の Pedersen らの報告でも、pH が小さいときに塩化物イオンの細胞透過性が落ちることが示され、アシドーシスに筋肉疲労を防ぐ作用があることが示唆された。この時点で今までの説は否定された。それでは高強度運動での筋疲労の原因は何かというと、クレアチンリン酸やATPの消費の際に出現するリン酸である。リン酸はカルシウムと結合しやすい。カルシウムは禁小胞体に貯められ放出した際に筋収縮するため、このカルシウムの阻害こそが筋疲労のい原因と考えられている。

 

⇒関連用語:嫌気性代謝、解糖系回路、コリ回路

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