バイオメカニクス バランス

静的バランスと動的バランス

静的バランスとは

静的バランスが良いとは物体に外力が加わった時に動かず静的平衡が保たれている状態のことです。また、動的バランスが良いとは物体が動いている際に、外力が加わっても動的平衡が保たれている状態を言います。

静的バランスが高い条件とは

支持基底の面積、②支持基底と重心線の関係、③重心の高さ、④物体の質量、⑤摩擦力、⑥構造の分節性、⑦心理的要因、⑧生理学的要因

①~⑥までは物体の安定性として⑦、⑧は人間や動物への条件となります。

つまり以下の条件で安定性は高くなります

 

①支持基底面の面積が大きいほど安定性します

②重心線の位置が支持基底面の中心に近いほど安定します

③重心が低いほど安定します

④物体の質量が大きいほど安定します

⑤摩擦が大きいほど安定します(床や壁などの接触面積が大きいほど摩擦が大きく、素材によって摩擦係数は変わります)

⑥構造が単純であるほど安定します(ジョイントが多く複雑であるほど不安定となります

 

 

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この図の場合左は安定性が高く、外力に対して強いですが真ん中や右は安定性が低いので外力が弱くても容易に運動が可能となります。

静的安定性と運動性は反比例します

静的安定性は物体を外力に負けないようにそこから動かさない働きです。そのため逆の言い方をすればテコでも動かない岩のようなものです。

床面の素材が濡れた氷であれば外力を加えた際に重たい物体でも動かせますし、丸い車輪をつければ簡単に外力で動かすことができますね。

人間の運動を考えれば、立ち座りは静的安定性が高いほど安全なので歩隔が大きいと立位は安定しますし、座面が高ければ安定性が下がるので立位までの運動性が高くなり移動距離も小さいので楽に立てます。

そう考えれば人間の歩行では不安定性の高い骨格構造も運動性を高めるためには必要な条件だと言えるでしょう。

 

100 kg の物体を 10 m 引っ張るとする。摩擦係数 μ = 0.5 で、垂直力は 981 N とすると、なされる仕事(必要とされるエネルギー)は「仕事 = × 距離」なので、981 × 0.5 × 10 = 4905 ジュールです。

ここで同じ物体に4つの車輪をつける。4輪と軸の間の垂直力は以前と(合計では)同じで 981 N である。車輪と軸が木製だとして、その摩擦係数を μ = 0.25 と仮定する。車輪の径を 1000 mm、軸の径を 50 mm とする。これを 10 m 移動させるとすると、摩擦面がこすられる距離は 0.5 m となる。したがってなされる仕事は 981 × 0.25 × 0.5 = 123 ジュールである。したがって、物体を直接ひきずる場合の 1/25 で済みます。

 

電車の車輪も重量の20/1程度の推進力で運動が可能といわれています。引きずったり押す運動をするさいの摩擦は『滑り摩擦』転がる運動では『転がり摩擦』といいます。転がり摩擦は滑り摩擦よりもはるかに摩擦係数が小さくなります。

つまりは静的な安定性は支持基底面や摩擦に依存します。

動的バランスとは

動的バランスが良いとは『物体が動いているときに外力を加えても動的平衡が保たれている状態』なので力に指向性がある必要があります。

自転車を乗っていると速く漕いだ場合は安定してゆっくり漕ぐとフラフラしますよね。

 

これは一つには移動方向へのベクトルが大きいか小さいかが問題です。支持基底面は細長い縦長なので左右のへの重心の移動が起こりやすくゆっくり漕ぐと左右へのふらつきは著明ですが、速く漕げば前方推進のベクトルが左右への動揺のベクトルを吸合しますので安定します。

 

もう一つは『ジャイロ機構』です。独楽の時点運動のように軸を中心に回転する円運動では角運動量が大きいほど安定します。

 

 

このように矢状面から見た場合でもタイヤの時点運動は速く動かすほど角運動量が大きく安定します。また人間の関節も回転運動によって運動しますね。

そのため動的安定性は速度に依存しますし、人間の運動も形は異なりますがこの様なルールで動的安定性を得ます。

力学的なポイントでのバランスのまとめ

静的安定性は支持基底面依存であり、動的安定性は速度依存です。しかし、人間は動物なので力学的なポイントだけではなく生理学的にも心理学的にもバランスには影響が与えらます。

 

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