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血圧について知っていますか?(血圧シリーズ①)

血圧とは?

血圧( Blood pressure;BP)とは、血管内の血液の有する圧力のことです。

一般的には動脈の血圧のことで、心臓の収縮期と拡張期の血圧をいい、それぞれ収縮期血圧(または最高血圧)拡張期血圧(または最低血圧)と呼びます。

ヒトの血圧

左心室から大動脈弁を出た直後の大動脈内圧を血圧と呼んでいます。

人間での正常範囲は、収縮期血圧で130mmHg未満、拡張期血圧で85mmHg未満とされています。

血圧が上昇した場合、血圧反射機能により、自律神経を介した反射性の制御が行われ、心拍数が減少し血管が拡張し、血圧は正常な範囲に戻る機構が働きます。

健康人においても、加齢によって正常血圧は上昇します。

また、この正常範囲は21世紀初頭のものであり、以前から何回か改定されており、今後も改訂の可能性があると考えられます。

 

正常範囲を超えた血圧が維持されている状態は高血圧症と呼ばれ、生活習慣病のひとつに数えられます。

また、正常範囲より低い状態は低血圧症と呼ばれます。

低血圧症は、疲れが取れにくい・慢性的に体がだるい重い・耳鳴りがする・動悸や息切れがする・脳貧血で意識を失いやすいなどの症状は出ると言われていますが、必ずしも早起きが苦手だとは言えません。

この事に関しては医学的に根拠がないと言われています。

余談となりますが、朝型か夜型かは遺伝子のタイプによって決まると考えられています。

サーカディアンリズムである睡眠の時間を決定する遺伝子が見つかっています。

それは体内時計をコントロールする時計遺伝子「Period」と呼ばれるものでそのタイプにより朝が苦手だというものが決定するようです。

 

血圧が高いか低いかで悩んでいませんか?

通所リハや病院でのリハビリをするときに血圧が高いとか低いとかで悩んでいることがあると思います。

しかし、血圧というものは刻刻と変化する数値ですので一過性のものなのか慢性のものなのかを観察する必要があります。

 

まず血圧というものは様々な影響を受けて変動していくものです。

体位

臥位から座位、立位への変換によって一過的に低下し、その後、圧受容体反射などで回復する。(これにより立ちくらみが起こる)

臥床時は心臓と末梢の高さはほぼ一緒なので重力に抗する必要がないので血圧は下がります。

体格

肥満の人は、やせたひとよりも高い傾向があります。

肥満は高脂血症や高血糖など動脈硬化が進んでいる可能性が高いためです。

性別

女性は男性よりも 5 - 10mmHg 低い傾向がある。

これに関しては諸説ありますが、女性の方が男性に比べ肥満者でも非肥満者に対して高血圧になりにくいというデータもあります。

(参考文献:日本総合健診医学会誌:Vol.15 No.3 1989年;年代別・性別にみた肥満度と高血圧との関連に関する統計的分析,石塚毅彦)

時刻

一般に夜間、睡眠中が最低で、午後は午前よりやや高い。夜間は低くなり、起床とともに高くなります。

一般的に概日リズム(サーカディアンリズム)の中では自律神経の働きで心臓の休む副交感神経の影響で睡眠時や夜間は低いです。

摂食

食後は上昇し一次高血圧の方は食後高血圧となり、糖尿病や自律神経失調症の方には食後低血圧が見られる場合もあります。

運動 

運動中は強度や負荷が高ければ上昇し、低強度での運動ではあまり変化はありません。

運動後高血圧と運動後低血圧があります。

血管拡張作用により血圧が低下しやすいのでどちらかと言えば運動後は血圧が低下する方が多いです。

あくまで負荷量や血管が拡張するまでの時間も関係するので『運動』と一括りにするのは危険です。

入浴

適温であればわずかに低下し、熱い風呂は上昇させます。

基本的には入浴中に測らないと思いますが、入浴中は水圧がかかるので血圧の変動があってもおかしくありません。

入浴時には血管は拡張し基本的には血圧は低くなりますが、高温入浴の場合は交感神経の興奮により血圧が高くなることもあります。

アルコール摂取 

適度の飲酒は血圧を低下させますが、長期間の飲酒は血圧を上昇させます。

アルコールは血管を拡張させるので適量であれば血圧を低下させますが、長期間の飲酒は動脈硬化を誘引し結果的に高血圧を招きます。

喫煙

喫煙は一般に上昇させます。

喫煙は血管収縮作用があるので血圧が高くなります。禁煙を4~5年程度で脳卒中リスクは非喫煙者と変わらなくなると言われています。

薬剤

一部の薬剤や物質にはカフェインなどのように血圧を一時的に上昇させるもの、麻酔など逆に低下させるものがある。

カフェインには交感神経を興奮させる作用があるため血圧を高める作用があります。

気温

温暖時は低下し、寒冷時は上昇します。

基本的には血管の太さで決まります。温暖であれば拡張し、寒冷時は収縮するためです。

心理的要素

緊張や感情の動揺、ストレスは血圧を上昇させ、逆にリラックスすると血圧はやや低下します。

医療機関で測定した値と家庭や職場で測定した値とで血圧血が大きく異なる場合などもあります(白衣高血圧・仮面高血圧も参照)

怒りや恐怖はアドレナリンやノルアドレナリンを放出させ、どのどちらも血管を収縮させる働きがあります。

リラックスは副交感神経が有意になるため血圧は低下します。

恐怖感情

前述していますがノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が放出されます。その際には血圧は高くなり下肢に血液を大量に送り込み脈拍も高くなります。

これは全て恐怖の対象から逃げるための準備です。

電解質

食塩中のナトリウムは血圧を上昇させます。

塩分感受性高血圧という状態です。

ナトリウムの排泄が不十分である際に、血管内の浸透圧が高まり、水分が血管内に貯留し血管を圧迫するため高血圧となります。

 

高血圧の治療

高血圧治療の目的は、血圧を下げることそのものではなく、将来の心臓や血管の病気と、それらの結果としての虚血性心疾患や脳卒中を防ぐことを目的とします。

この数字も個人差がありますので目安となる正常血圧よりも高くても健康な方も多くいます。

ただし、これまでの日本での高血圧の治療はその生命予後や健康需要に有益であることが多く、適切な高血圧治療は必要ですので、理学療法士も血圧に対する理解を深めることは大切だと思います。

高血圧と同時に、すでに糖尿病や脂質異常症、肥満など、心血管病の多くのリスクをもっている人は、治療を受ければより大きな効果が得られます。

特に前述したように高血圧の治療目的は将来の病気の予防や再発の予防ですので理学療法士は血圧だけでなく、肥満や筋肉量、運動習慣などに関与し高血圧の服薬治療にプラスして運動療法を提供していく必要があります。

具体的には以下の内容を指導していきます。

肥満の解消や生活習慣の改善

食塩摂取量を制限する

適正体重を維持する

アルコール摂取量は適量にする

適度な運動療法をする

禁煙

脂質(飽和脂肪酸やコレステロール)の摂取量を制限する

 

 

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