物理療法 電気療法

干渉電流療法 IFC(interferencial current therapy)

 

干渉電流療法とは

2種類の異なる周波数の電流を組み合わせると、新たに合成された電流が発生します。この新しく発生した電流を干渉電流(interferencial cur-rent:IFC)とよびます。1950年、ネメック(Nemec)が最初に装置を考案して今日に至っています。

千渉電流は生体内で発生するため、電気療法で常に問題となる患者に対する不快な刺激感覚を与えることも少なく、安全でかつ効率的な刺激法として臨床的に広く適用されるようになってきました。

治療特性

2つの近接した回路に2種類の交流電流を流すと、新しく合成された干渉波が生じます。これをヘテロダイン効果とよびます。2種類の異なった電流を干渉させることで体内で干渉波を作るため、皮膚インピーダンス(皮膚の電気抵抗)が小さく皮膚のチリチリとした電気療法特有の不快な刺激感覚が少なくて済みます。

 干渉電流療法の臨床効果

(1) 神経・筋に対する刺激効果

2対の電極下ではほとんど刺激感覚を感じることは少ないです。干渉電流の最大ピークは生体内生するため干渉域を神経走行にあわせるように設定すれば、有効な選択的神経刺激が可能です。

しかも、発生する干渉波は変調されているため神経の順応も生じにくく、感覚神経に対する不快な刺激も少ないです。

筋刺激においては表在筋よりも深部筋の刺激効果のほうが大きいです。そのため他の電気療法に比べて干渉電流療法はより有効な筋力強化が期待できます。

(2) 電気的化骨現象

一般に生体内で活動している組織は非活動的組織に比較して電気的に陰性になっていますが、骨組織においても増殖過程にある組織は新陳代謝が活発であり電気的に陰性となっています。

骨組織に電流を流すと陰性に電荷している部分に電流は流れ込み、骨増殖を一層賦活すると考えられています。これを電気的化骨現象と呼びます。

その機序については諸説がありますが、外骨膜と内骨膜の間に絶えず電位差が存在するため電気刺激によって両者の脱分極が生じ、骨形成に対する刺激となって働くとするものや体液中のカルシウムイオン移行説、骨の間葉細胞賦活による骨芽細胞の発生と血管増生の促進などが考えられています。

臨床適用

(1) 疼痛症状に対して

  経皮的末梢神経電気刺激と同様な刺激条件を設定する。

(2)筋萎縮に対して

骨折後のギプス固定や免荷によって生じる筋萎縮、末梢神経損傷による筋萎縮に対しては4極法で刺激します。

電極は刺激する筋を覆うように配置します。刺激頻度は20Hz以下として,刺激強度は中等度に筋が収縮する程度にします。

(3) 筋力強化に対して

TKA術後などの膝周囲筋の筋力強化訓練の補助的手段として有効です。とくに大腿四頭筋に対しては4極法で刺激頻度は50〜60Hz、刺激強度は患者が耐えられる程度の強さで行います。

しかし電気刺激そのもので筋力強化を期待することはあまり意味がないと言われています。

干渉は僕の結構好きな物理療法です。実習生の時代に結構お世話になりました。

やっぱり体内で中周波を干渉させるのでピリピリした感じが少ないことと、治療の幅が広いことが魅力ですね。

筋を収縮させることが出来るのでEMS(電気的筋刺激法)としても利用できますし、電気治療全体に言えることですが骨の癒合促進効果も助かります。

最後に電気刺激だけでの筋力増強はあまり意味がないと書いていますが、これは廃用症候群が非常に高度に進行しているものに対しては有効ですが、健常者にはほとんど効果はありません。

それとEMSモードは結構痛いので患者に使用するのはためらってしまいます。

筋力は運動で手に入れることで特異性の原理に従った使いやすい筋肉になりますが、電気刺激では筋肉の線維であるエラスチン線維よりも収縮要素をもたないコラーゲン線維が多くなるとの研究もありますのであくまで廃用予防効果として利用するのがいいと思います。

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