レーザー(LASER)とは
レーザー(LASER)とはレーザーとは人間のつくりえた唯一の人工光線である。
LASERは【放射の誘導放出による光増幅】つまりlight mplfco fsimltedemission of radiation の頭字語である。レーザー光線はトランジスターや原子力の発明とともに今世紀の三大発明のひとつといわれている。
この先端技術である医療へのレーザー導入は眼底治療にはじまりレーザーメス、レーザー内視鏡と熱作用の利用から光化学作用の利用へと進みさらに低出力レーザーを使った光刺激治療が、主として除痛、創傷治癒促進、あざ・しみの消失等を目的として用いられるようになった。 1963年、McGuffらによりラットに移植した黒色腫にルビーレーザー光を照射し腫瘍が消失したという報告以来、現在もレーザー光による制癌作用についての研究が進められている。
1970年代に入り、出力30〜50Wという高出力のCO2レーザーを利用したレーザーメスが外科手術に用いられ、その後レーザー応用の分野は脳外科、耳鼻咽喉科、形成外科、口腔外科等へ広がりをみせている。
低出力レーザーを用いた治療は1973年Plogが刺針によりハリ療法のかわりにレーザーによる刺激を考案したことにはじまる。わずか2mWという低出力のHe-Ne レーザーで痛みがとれるというものであった。
レーザーというと兵器のイメージがありますが医療業界にも様々なレーザーがあります。理学療法では直接的にレーザー治療を使用する場面は少ないかもしれませんが光線療法全般は覚えておいて損はないと思います。赤外線療法や紫外線療法以外にも高照度光療法など光線を使う治療は様々ありますが低出力レーザーは副作用の報告もなく適応幅が広いわりに禁忌が少ないことも特徴です。
レーザー光の特徴
レーザー光も電磁波という点では従光(自然放出光)と本質的に同じである。しかし、従来の光に比較して桁違いに単色で指向性がよく強力であるため新しい現象が観れあらゆる分野で応用されるに至っている。
レーザーをプリズムで屈折させると角度は曲がりはするが自然光と違い虹のような色相に分かれることは無い。
1)单色性 monochromaticty
いろいろな光が混り合っておらずどの程度純粋な1つの光であるかをいう。単色性とは純粋な1つの周波数すなわち単一周波数に近いかどうかということである。
レーザー光ではこの度合がきわめてよい。
2)指向性(集光性)
光が一定方向にどのくらい広がらずに進むかをいう。たとえば懐中電灯の光とレーザー光を比較すると懐中電灯の光は前方にいくにつれて光は広がるが、レーザー光は広がらずに進む。
したがってレーザー光のほうが指向性が高い。
3)干渉性
干渉性とは位相の相違によって明暗の稿を発生する現象のことである。レーザーは位相が揃っているため障害物にあたるとすぐに干渉を起こしまう
4)エネルギー集中度および高輝度性
太陽光は光をレンズで集めても紙や木を焼く程度であるが,レーザー光ではエネルギーの密度が高いため鉄板を焼くことも可能である。
以上4点をもつレーザー光をコヒーレントな光という(位相が揃っている)
単色性が高いということはつまり複数の光が合わさって出来たのではないので出力や周波数をコントロールしやすいという利点があります。複数の光が合わさった太陽の光などは太陽の位置によって屈折し青空を作ったり夕日の赤色を形成します。そのため周波数を変えると(強度や距離)効果にばらつきがでますがレーザーは単色性が高いので安定して利用できます。
また指向性が高いので懐中電灯の様に広がらずに真っすぐに伸びます。レーザーポインターがその様にぶれずに真っすぐ伸びますよね。そのため他の組織に当てずにピンポイントに対象組織に干渉できます。
干渉性に関しては分かりやすく言うならばはっきりくっきり光を写すということです。
最後にエネルギー集中度や高輝度性に関して言えば一点に集中することで物を燃やしたりする力が自然光に比べて非常に高いということです。
低出力エネルギーレーザーとは
レーザーの低出力エネルギーとは一般に出力100mW以下で、これに対して高出力エネルギーとは20W以上である。そして物理療法で用いるレーザーは低出力エネルギーレーザーの範囲である。
この低出力エネルギーレーザーの治療を低反応レベルレーザー治療(low reactive level laser treatment)略してLLLTの頭字語で表現される。
LLLTの生体への作用生物においては光は欠かせない。生体への作用は多くの反応が認められているが臨床的には生体活性化効果(bio-stimulation effect)と考えられ効果としては創傷治癒促進効果、鎮痛効果があげられる。この効果はハンガリーのMesterによって1968年に報告されている。
このいわゆる生体刺激による生体活性化効果は Arndt-Schultz'sの法則にもとづく。すなわち「すべての生体に与えられる刺激はその刺激が弱ければ生体の生理学的反応をて対象とな助長し、中程度の刺激であればさらに助長し、強い刺激は生体の反応を抑制し、より強い刺激はこれを制止させる」という学説である。たとえば体温よりわずかに高い温度の入浴は血行を促進させ、生理的諸機能も活性化される。
この温度が高くなるにつれて機能はますます盛んになるが、ある温度に達すると熱傷を起こしてしまう。さらに温度を上げると生体すべての機能は停止し細胞は死滅する。
レーザーが生体組織に及ぽす効果として現在のところ熱効果、光化学効果、圧効果、電磁界効果が知られている。創傷治癒促進効果については臨床的にも客観的な評価が可能であり、その効果は広く認められている。
疼痛についても多くの二重盲検法による報告がされている。Snyder-Mackler は圧痛点の皮膚抵抗の変化を調べ、Walkerは尿の変化を、またGoldman は作業療法士との共同研究でレーザーを照射しなかった方の手指の除痛効果があったことを報告している。
LLLTの利点
他の療法にて1ヵ所当たりの治療時間は秒単位から分単位が多い。秒単位は紫外線療法以外にはみられない。痛みを加えることがない。機種のタイプによっては3kg前後の圧をかけながら照射するのがよいといわれるものもあるが一般にLLLTに用いられる治療機器は非侵襲性のものが多く、したがって非接触性であることから感染の危険がないことも利点の1つである。
副作用としては現在のところとくにLLLTによって起こる副作用の報告はみられない。したがって対象となっている疾患、症状も広範囲である。機器が小型であり簡便であることが治療室のスペースに余裕のないところで歓迎される傾向もある。
低出力レーザーによる生体活性化効果(Mester)
1.コラーゲン新生の促進
2.酵素活性の亢進
3.血管の再生促進
4.血流の改善
5.細胞分裂の活発化
6.生体活性物質の産生
(bioactive substance)
コラーゲンの新生や酵素活性など照射皮膚に対する賦活効果が高く、シミや痣の治療にも利用されており医療だけでなく美容関係にも幅広く利用されています。
血流の改善やターンオーバーなどの効果から美容・健康関係に利用されることが多いので意外と医療者よりもエステや健康サロンなどの方が見かける機会も多いかもしれません。病院での物理療法は電気治療器やホットパックが一番メジャーな気がしますが疾患によっては有効な場面も多いと思います。特に適応幅が広く目立った副作用がないことが選択しやすいという長所でもあります。
LLLTの適応
(痛みに対して)
慢性関節リウマチ
帯状疱疹後神経痛
顏面神経麻痺
筋性腰痛
カウザルギー
筋緊張性頭痛
三叉神経痛
頸椎症
肩関節周囲炎
頸腕症候群
多発性神経炎
幻視痛
変形性膝関節症
変形性股関節症
(創傷に対して)
褥瘡
外傷性創傷
手術創
ケミカルバーン
糖尿病性潰瘍
アトピー性皮膚炎
LLLTの禁忌
(1) レーザー光を照射してはいけない部位: 眼、甲状腺部、性腺部
(2)照射が禁忌の疾患となるもの:心臓疾患(ペースメーカー使用者)、出血性疾患、新生児・乳児、衰弱の著しい高齢者,その他医師が不適当と認めた人。
照射部の選択(田口)
1. symptomatic laser therapy:
患者が痛みを訴える部位への直接照射
2.electically significant point therapy:
皮膚上最も交流(電流0〜10MA,5Hz)皮膚インピーダンス の低い点,圧痛点
3.elzack pointtherapy:
いわゆるゲートコントロールセオリーにもとづく点 。その疼痛部位を支配する脊髄神経の皮節と神経根節に近い部位。
4.motor point therapy:
最大の筋収縮を引き起こす点で運動ニューロン軸索の分布が密なところ。
5. connective tissue therapy:
筋膜、骨膜、筋付着部、腱ならびに腱移行部。
6. meridian point therapy:
針灸における経穴
7. sense modality therapy:
感覚変調法、鎮痛効果を目的として経皮的電気刺激、冷マッサージなどを継続して施行したための順応により効果のなくなったときにレーザーに変更する。
8.inhibited point therapy:
痛みの経路は末梢のレセプターはなく抑制系の線維の存在することが証明されており、この点では抑制系に照射するとむしろ痛みの賦活がとれ抑えることができる。