極超短波療法(マイクロ波)とは
極超短波(マイクロ波)は300〜3,000MHzの周波数をもつ電磁波をいうが、医療用ではおもに2,450MHz(波長12。2cm)の周波数のものが使用されている。温熱療法のなかでホットパックと並んで最も頻繁に用いられている。家庭用の電子レンジはマイクロ波で食物を温めるのに使われている。マイクロ波は光に似た性質を有し、反射、屈折、透過、吸収作用がある。これらの作用はマイクロ波の周波数や照射される物質により異なる。2mm以上の皮膚では1,000MHz以上のマイクロ波で50%反射してしまう。
マイクロ波は電子レンジで有名ですよね。主に水分子の振動や回転を加速させることで摩擦熱を作り出し過熱します。
皮膚と異なり水分が多く存在する筋肉を標的に加温できるので他の温熱療法に比べ格段の浸透率を誇ります。
余談ですがスティーブンセガールの『沈黙シリーズ』でよく使われるのに電子レンジにスプーンなどの金属を入れてチンすると爆発します。
マイクロ波が金属片で乱反射し尖った部分に強力な電界を発生させるため空気を電離させ大爆発するのですが、体内金属にも反応するので人工骨頭などにも注意が必要です。
熱発生原理
基本的には超短波ジアテルミーと同様でマイクロ波が組織に透過するときに分子が振動したり回転することにより摩擦熱を生ずる。
マイクロ波発生原理
マグネトロン管(磁場を用いた特殊な二極真空め)管)内でマイクロ波を発生・共振させてアンテナまたはアプリケータを通して照射される。
照射量と時間
思部とアブリケータの距雕は10cmほど(握りこぶし1つ程度)離すことが多いが患者の温感により出力や距離を変化させて調節する。実際に生体に照射される量は(エネルギー密度)メ(治療時間)メ(有効治療面積)でありW・秒で表せる。(1W・秒は0.24calに等しい)照射時間は5〜30分であるが20分で行うことが多い。
適応
外傷:筋挫傷、捻挫、腱鞘炎などの亜急性期以降の外傷に適応
関節リウマチ:痛みやスパズムの程度を減少させる
筋温を上昇させるのでスパズムなどの軽減には非常に効果的です。また温熱作用による筋の伸張性の増加と疼痛軽減が期待できるのでダイレクトストレッチやスタティックストレッチの前処置として有効です。
禁忌
①火傷:誤った電極配置などにより火傷を生じる
② 悪性腫瘍
③出血傾向、血栓症
④ 知覚脱失
⑤金属部分への照射(着衣の金糸,銀糸,装身具,体内金属固定)
⑥ペースメーカー使用患者(ペースメーカーの損傷や誤作動の恐れが十分に考えられるため)
⑦その他.
よく電気療法を体内金属が入っている場合禁忌と考えてしまう方も多いと思いますが、低周波は通電率の良い金属インプラントには無害です。
マイクロ波が危険なので国家試験だけでなく臨床の場面でも間違えない様に注意しましょう。
注意事項
①金属が体内にあるときは超短波もマイクロ波も厳禁である。皮膚表面から2cm以内のところに金属があるとマイクロ波による熱の収束が起こり火傷する結果となる。さらに、金属に向かってマイクロ波を照射させると反射されてアンテナを損傷することがあるので注意が必要である。
②照射部位が発汗していないかを確認する(発汗がみられると、発汗部に熱が集中する)。
③患部に垂直に照射する。
④顔面への照射はワイアパッドで目を覆う(白内障の危険を避けるため)。
⑤脳実質、睾丸、子宮への照射は決して行わない(熱の収束のため)。
⑦衣服は原則として脱ぐこと(皮膚に熱が収束するため)。
マイクロ波は水分を振動させて熱を発生させているので注意事項は汗や水分含有量の多い組織です。
金属と水分だけ注意しましょう。
生理学的作用
①温熱作用
② 血液供給量の増大
③鎮痛作用
④その他