アイスバッグとは
アイスバッグは理学療法では痛みの軽減や浮腫の抑制を目的としてよく使われる。氷を細かく砕き、プラスチックの袋に詰めて濡れたタオルの上から患部の形状にあてがうようにして適用する。スポーツ選手のように皮膚感覚や血行が正常な場合を除いては直接バッグを患部にあてることはしない。
治療時間は10〜20分間である。アイスバッグはとくに外科手術の後の浮腫や痛みの軽減に有効である。ただし、手術創の感覚の脱失には十分気をつけなければならない
比較的直ぐに作ることのできるアイシングの物療です。急性炎症期だけでなく理学療法の前処置や運動後の疲労回復に使用できます。炎症部位は炎症メディエーターが発生しています。(主にヒスタミンやブラジキニン)温度のを下げることで血管収縮による血管ポンプ作用を働かせこの炎症物質を排出させます。
アイスバッグのメリットはお手軽に作れることですね。熱中症などの緊急事態に家庭でも作れる寒冷療法です。
リハビリでは毎回、氷を作る手間が大変かもしれません。
実施方法
①プラスチックの袋のなかに2/3くらいになるまで氷片または砕いた氷を詰める。氷片を詰め、袋に結び目をつくる際には袋のなかの空気を抜いておく。なおプラスチックの袋は破損しない丈夫なものを用いる。また、使用前には必ず袋に穴があいていないかチェックする。
②タオル、シーツなど治療に必要なものを用意する。
この治療は結構袋が破れたり、水がこぼれることが多いので十分に丈夫な袋を使用することと袋を二重にして乾いたタオルで衣服やベッドなどが濡れないように配慮することが大切です。
患者への対応とチェック
①患者に治療手順と注意を説明する。とくに治療中の感覚の変化、異常などの際の注意点をわかりやすく説明する。
②患部の皮膚感覚をチェックする。とくに温度覚、痛覚をチェックするとともに患部の血行状態、皮膚の異常の有無などもチェックしておく。また患者によっては寒冷過敏症のものがいるので注意を要する。寒冷過敏症は寒冷療法の禁忌である。
③治療中衣服が濡れないようシーツやバスクオルでこれを保護する。
④湿らせたタオルを患部に均等にあて、その上からアイスバッグをあてる。さらにその上から乾いたタオルあるいはシーツでバッグを固定する。
⑤治療時間は通常5〜20分間である。
冷たすぎると治療時間が苦痛になるので温度を冷やしすぎるよりも水を増やして接触面積を増やして単位時間での熱放散の量を確保することが重要です。
治療の終わりにさいしてのチェック
①バッグとタオルを患部から除く
②患部を乾いたタオルでよく拭いて乾燥させる。この際に皮膚に異常が発生していないかチェックする。
③バッグから中身を除き乾燥させる。
患部の状態チェックは皮膚の色や疼痛、異常感覚がないか、腫れがひいているか等をチェックします。
患部が濡れていると気化熱で温度が下がりすぎるので治療後は結露などで濡れた患部は拭いておきましょう。
臨床適応
寒冷療法実施後、ゆっくりと対象筋を伸張させ関節の可動域拡大を図る。なおコールドパックやアイスバッグの代わりに氷の薄片に水を加えたバケツのなかにタオルを2〜3分つけ、氷がタオルに付着する程度に冷やし水分をよくきって、それを直接患部にあてる方法はアイスタオルといわれ簡単でどこでも実施できる便利な方法である。タオルを浸す冷水の温度は少なくとも8Cくらいであることが必要である。タオルは1〜2分ごとに取り替える。急性期外傷の場合は30秒ごとに取り替えるとよい。治療時間は10~15分で痛みがなくなるまで続ける。
回復期の治療や外来での治療の際に私が最も多用したのがこのアイスタオルですね。患部のアイシングは氷などを使用すると形状が患部にフィットせずに点で接触してしまい過剰に冷却してしまい凍傷のリスクが上がります。また体温は35℃~36℃前後、炎症部位でも38℃から40℃前後の皮膚温ですので過剰に冷やすよりも水につけたりアイスタオルで冷やすほうが効果的に皮膚を冷やせます。
丁度気持ち良い温度ですので、副交感神経が有意となり交感神経の過剰な興奮を抑えることが出来ます。その結果アドレナリン分泌を抑え血管収縮を抑制するので炎症物質を拡散させやすく腫脹を取り除きやすいです。
自宅で行うのなら、水で絞ったタオルをブンブン振り回すだけで気化熱で良く冷えたタオルにありますのでそれを巻いて、ぬるく成ったらまたブンブンしても冷えます。乾いたらまた絞ればよいのですが、病院に行くほどでもない場合に自宅で冷やすときにやってみて下さい。