肘筋
anconeus muscle
(アンコウニィァス・マッスル)

肘筋の概要

肘関節のやや下方に位置する小さな筋肉であり、主に上腕三頭筋の補助として肘関節の伸展に貢献します。

肘筋の起始の一部は、後外方の肘関節包より起こります。肘関節を屈曲する際に関節包が肘関節に対してズレないように保つ働きがあります。

肘筋の関節包より起始する線維は関節筋としてインピンジメント(impingement)を防止する以外に後外側部の関節包を緊張させ、その安定性に関与すると考えられます。

関節筋(関節包筋)とは

ヒトの関節内圧は陰圧ですが、関節運動によりその内圧は変化します。

関節包はその関節の内圧に影響を受けます。運動によって通常よりもさらに陰圧になったとき、関節包は関節のなかに吸い込まれ、あるいは巻き込まれてしまう可能性があります。それを防ぐために、主な関節には最深層の筋線維を関節包に停止する「関節筋あるいは関節包筋」が存在しています。

一般的に骨格筋の主な機能は ① 姿勢の維持② 関節を介した運動③ 熱の産生などのように説明されますが関節包を保護するという重要な機能も持ちます。

 

肘筋の特徴

肘関節を伸展し上腕三頭筋の補助をします。また関節包を緊張させその安定性に関与していると考えられています。

また前腕の回内を伴いながら肘の伸展をすると肘筋の筋活動は増強します。

これは回内により生じる内反ベクトルに拮抗するための動的安定化(拮抗筋活動)と考えられています。

上腕骨外側上顆炎などでは短橈側手根伸筋と総指伸筋の緊張が十分に低下しても疼痛が改善しない場合もあります。

慢性の外側上顆炎のMRIを検討した結果、肘筋に強信号が生じている例も報告されています。

肘筋は外側上顆から起始して肘頭および尺骨体上1/4の後面に停止する筋であり、肘関節の後下方に存在する小さな三角の筋です。

肘筋は外側上顆から起始するため前腕伸筋群の仲間と考えられますが、発生学的には上腕三頭筋の外側頭の続きと考えられています。

作用は肘の伸展で前腕回内位では尺骨の内反制動作用をもっている。

テニスのバックハンドストロークのインパクトでは前腕回内位で肘関節に内反ストレスが生じます。

外側上顆炎などの疼痛はそのストレスに肘筋が拮抗した結果とも考えられます。

外側上顆炎の疼痛の原因を探るためには,肘筋も含めた外側上顆近傍の丁寧な触診技術が求められます。

また、肘筋の位置関係により回内位の方が伸長され筋活動が高まると言われています。

理由としては上記の様に円回内筋に対するフォースカップル(動的安定化)での作用によって筋活動が高まると考えられています。

肘筋は橈骨側に付着していないので前腕の回旋で筋活動が増減することは機能解剖学的に考えにくいですが、この様に筋の自然長の変化と動的安定化作用による筋活動の増加があると考えます。

 

筋肉データ

項目 内容
神経 神経支配:橈骨神経(C7~8)
起始 上腕骨外側上顆のやや後面、外側側副靱帯、肘関節包
停止 尺骨の肘頭外側面、尺骨近位1/4後面
作用 肘関節の伸展(上腕三頭筋の補助),肘関節包を緊張させる
筋体積 11㎤
筋線維長 8.5cm
速筋:遅筋(%) ーーーーーーー
PCSA 1.3㎠
栄養血管 上腕深動脈、反回骨間動脈

臨床の観点

上腕骨外側上顆に圧痛を有する症例の多くは短橈骨手根伸筋などの付着部である外側上顆炎であることが多いです。しかし、回内・伸展で疼痛が誘発され且つ外側上顆の後方で圧痛がある場合には肘筋がトリガーとなった付着部炎である可能性が高く鑑別が重要となります。

付着部炎はオーバーユース(過使用)による炎症なので回内・伸展など肘筋の収縮を促して疼痛が出たかどうかで機能障害を起こしている筋肉を鑑別します。

関連疾患

・上腕骨外側上顆炎

・橈骨神経麻痺

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