上腕二頭筋
biceps brachii muscle
(バイセプス・ブレイキー・マッスル)

上腕二頭筋の概要

力こぶを形成する肘関節の屈曲の主力筋です。

また上腕二頭筋長頭腱はローテーターカフと同様に肩関節の安定化作用を持ちます。

野球の投球などで肩の前側を痛める関節唇損傷は上腕二頭筋の長頭の起始部付近の損傷である。

上腕二頭筋長頭腱は結節間溝を通過して関節内に進入します。

関節内に進入した長頭腱は烏口上腕靱帯の下方で棘上筋と肩甲下筋の間の腱板疎部を走行し関節上結節と上方関節唇に付着します。

上腕二頭筋の短頭は烏口腕筋と合流し共同腱として烏口突起に付着します。

上腕二頭筋腱は近位へ向かうにつれて筋肉内へ広がり幅広い筋内腱となります筋線維は筋内腱に対して深部・浅部の関係で羽状構造をとっていきます。

上腕二頭筋の特徴

上腕二頭筋は肩関節、肘関節を跨ぐ二関節筋であり双方の関節運動に関与します。

上腕二頭筋は肘の屈筋、前腕の回外筋として強力な作用をもちます。

上腕二頭筋の長頭は上方関節唇を持ち上げることで骨董の情報移動を抑え肩甲上腕関節の安定化に寄与しています。

このように回旋筋腱板ではありませんが上腕二頭筋長頭腱は肩関節安定化機構を持ちます

上腕二頭筋長頭腱は肩関節の前方から関節包内に侵入し関節上結節に付着します。

その際、長頭腱は結節間溝を通過します。

結節間溝は肩関節内旋位では肩関節の前面に位置するため、長頭腱は肩関節の比較的前上面を走行します。

それに対して外旋位では結節間溝が外側面に位置するため長頭腱は肩関節の上面を横断することになります。

そのため長頭腱は外旋位では挙上運動時に上腕骨頭を下方に押し下げるベクトルを発揮すると考えられ、肩関節の安定化に一役かっています。

つまり肩関節を外旋させたfull can testでは腱板の収縮が不十分でも肩関節を外転位に保持できる可能性があります。

疼痛の有無を観察するなら、empty can testもfull can testでも収縮時痛は出るかもしれません。

しかし上腕二頭筋の代償が効かないempty can testのほうがより腱板の機能低下を反映する可能性が考えられ臨床で用いる際には検討が必要になると考えられます。

 

前腕回外には上腕二頭筋と回外筋が関与しますが肘観閲屈曲位では上腕二頭筋は弛緩するので回外筋が主に回外作用を持ちます。

しかし肘伸展位ではもともとCPPとなりますので前腕回外というよりも肩関節外旋となります。

上腕二頭筋は橈骨粗面に付着しますが内側を構成する一部の線維は上腕二頭筋腱膜を介して前腕筋膜に移行します。

そのため前腕の動きも上腕二頭筋に影響しますので上腕二頭筋の長頭腱炎などでは前腕の伸長により疼痛が緩和したりします。

上腕二頭筋のポジション別の作用

上腕二頭筋の作用は肩関節下垂では肘屈曲、肩屈曲です。

90°外転位では水平屈曲に関与します。

 

 

 

 

筋肉データ

項目 内容
神経 神経支配:筋皮神経(C5-C6)
起始 ①長頭:肩甲骨の上結節、上方関節唇②短頭:烏口突起先端
停止 ①長頭:橈骨粗面、前腕屈筋腱膜②短頭:上腕二頭筋腱膜を介して前腕筋膜
作用 ①肘関節の屈曲(全体)②前腕の回外③肩関節屈曲④水平内転
筋体積 366㎤
筋線維長 14.1cm
速筋:遅筋(%) 53.6:46.4
PCSA 25.9㎠

臨床での観点

肩関節周囲炎の病態の一つに上腕二頭筋長頭腱炎があります。

このテストにはYeragason test(ヤーガソン)があります。

また上腕二頭筋長頭腱による牽引力や骨頭の剪断力によって肩上方関節唇損傷:SLAPが生じることがあります。

筋肉の付着部に強い収縮力や剪断力が発揮するときには骨が引き延ばされて骨棘形成されたり、腱断裂、筋断裂、剥離骨折など様々な症状が起きます。

付着部位が点であったり一つの強力な収縮力を持った筋にはその筋の依存度が高いとスポーツ外傷のリスクが伴います。

そのため上腕二頭筋の損傷を防ぐには肩関節安定化機構であるローテータカフや回外筋、肘屈筋群の他の筋群を鍛えることで単独損傷のリスクを下げることが出来ます。

また上腕二頭筋腱断裂では肘屈曲位での筋膨隆が遠位へと変位する所見が見られます。左右差があるかを確認しましょう。

また上っ腕二頭筋の過緊張は内側二頭筋溝が狭小化し尺骨神経の摩擦ストレスが増大するため尺骨神経障害の場合は上腕二頭筋の緊張も確認する必要があります。

 

関連する疾患

・上腕二頭筋腱炎

・肩上方関節唇損傷(SLAP lesion)

・上腕二頭筋腱断裂

・上腕二頭筋腱腱脱臼 

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