短橈側手根伸筋の概要
前腕後面で長橈側手根伸筋と並走しており、長橈側手根伸筋とほぼ同じ働きを持ち手関節の撓屈を伴いながら背屈する働きを持つ。過使用(オーバーユース)でテニス肘の原意となることもある。
短橈側手根伸筋はリスター結節の橈側を通過します。
短橈側手根伸筋は起始部へ向かうにつれて長橈側手根伸筋と総指伸筋の深部を走行し外側上顆に付着します。
手関節の近位背側では長母指外転筋と短母指伸筋の筋腹が長・短橈側手根伸筋の上方を横切るように走行し総指伸筋の深層へと進入します。この部分はインターセクションと呼ばれます。
短橈側手根伸筋の特徴
長橈側手根伸筋は手関節の背屈と撓屈に作用し肘関節では屈曲に作用します。
短橈側手根伸筋も手関節の背屈と撓屈に作用しますが停止が中指の中手骨底となるため撓屈作用は長橈側手根伸筋に比べ弱いです。
筋肉データ
項目 | 内容 | ||||
神経 | 神経支配:橈骨神経の深枝(C7) | ||||
起始 | 上腕骨外側上顆、外側側副靱帯、橈骨輪状靱帯 | ||||
停止 | 第3中手骨底の背側面 | ||||
作用 | 手関節の背屈、撓屈、肘関節の屈曲 | ||||
筋体積 | 22㎤ | ||||
筋線維長 | 8.8cm | ||||
速筋:遅筋(%) | ーーーーーー | ||||
PCSA | 2.5㎠ |
臨床での観点
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は外側上顆に起始する筋腱の付着部炎です。その疼痛の発生には短橈側手根伸筋が強く関係しています。
長橈側手根伸筋は外側上顆に付着がないため疼痛発生の引き金とはなりません。
外側上顆炎に対する保存療法として短橈側手根伸筋に対する個別的ストレッチングは症状改善に有効です。
またテニスエルボーバンド(テニスの肘サポーター)は短橈側手根伸筋の収縮張力を軽減するための装具療法となります。
後骨間神経麻痺(回外筋症候群)の大きな臨床的特徴は下垂手ではなく下垂指を呈する事です。
これは回外筋に進入する前に長・短橈側手根伸筋に神経の枝が分布しその機能が失われないために起こる現象です。
肘離断性骨軟骨炎に生じる屈曲拘縮の原因として腕橈関節の関節包に接する長橈側手根伸筋は治療上重要な組織と言えます。
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