浅指屈筋の概要
前腕屈筋の中で最大の筋であり、長掌筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋の奥に位置する。深指屈筋と共に母指を除く手指屈曲の主力筋であり手関節屈曲筋でもある。
浅指屈筋は前腕掌側にある屈筋群の中間層に位置します。
手関節近位レベルの浅指屈筋腱は長掌筋腱のすぐ尺側を走行します。
手関節近位レベルの浅指屈筋腱は中指と環指へ向かう腱が浅層にあり示指と小指に向かう腱がその深層に配列し走行します。
小指へ向かう腱が欠損する破格例があります。
浅指屈筋の特徴
浅指屈筋は主にPIP関節を屈曲させますが、併せてMP関節の屈曲及び手関節の掌屈にも関与します。
上腕骨内側上顆より起始する一部の浅指屈筋は補助的に肘関節屈曲に関与します
示指から小指までの4つの筋束がそれぞれ単独で収縮する事が出来ます。つまり各指ごとにPIP関節の屈曲運動が可能ということになります。
筋肉データ
項目 | 内容 | ||||
神経 | 神経支配:正中神経(C7~T1) | ||||
起始 | ①上腕尺骨頭:上腕骨内側上顆②尺骨頭:尺骨粗面の内側及び内側側副靱帯③橈骨頭:橈骨の上方前面 | ||||
停止 | 第2~5指中節骨底の前縁 | ||||
作用 | 第2~5指PIP屈曲、手関節の掌屈 | ||||
筋体積 | 74㎤ | ||||
筋線維長 | 12.3cm | ||||
速筋:遅筋(%) | ーーーーーー | ||||
PCSA | 6.0㎠ | ||||
栄養血管 | 尺骨動脈 |
臨床での観点
浅指屈筋固有の筋力を評価したい場合には評価したい場合は評価したい指以外の3指を伸展位で固定すると深指屈筋の働きを排除することが出来る。この肢位でPIP関節の屈曲力をみると測る事ができます。
完全な正中神経麻痺の症例に手指の屈曲を行わせると小指と環指のみ屈曲しあたかもお祈りを行うかのような関節肢位を呈します。これは祈祷肢位とよばれ正中神経麻痺の特徴的な症状です。この現象は深指屈筋の尺側の2本が尺骨神経により支配されているために生じます。
関連疾患
・浅指屈筋腱断裂
・石灰腱炎
・ばね指(弾発指)
・フォルクマン拘縮(Volkmann拘縮)
・屈指
・前骨間神経麻痺(正中神経高位麻痺)