方形回内筋の概要
前腕の手関節側に位置する平らな筋です。主に前腕の回内の働きを行い、前腕回内の主力筋である円回内筋と共に作用します。手関節の働きには作用しません。
前腕の筋肉の中で最も深層に位置し幅は3~4cmあります。方形回内筋の上は橈側から橈骨動脈、長母指屈筋、正中神経、深指屈筋、尺骨動脈、尺骨神経が通過します。
方形回内筋の橈骨付着部は比較的単純に橈骨の前面に位置するのに対して尺骨付着部は尺骨下部を巻き込むように背側にも延びています。
方形回内筋の特徴
前腕の純粋な回内筋でありそれ以外の作用をもちません。
筋肉データ
項目 | 内容 | ||||
神経 | 神経支配:正中神経(C8~T1) | ||||
起始 | 尺骨の遠位端1/4の前面 | ||||
停止 | 橈骨の遠位端1/4の前面 | ||||
作用 | 前腕(橈尺関節)回内、遠位橈尺関節の安定化 | ||||
筋体積 | 11㎤ | ||||
筋線維長 | 3.0cm | ||||
速筋:遅筋(%) | ーーーーー | ||||
PCSA | 3.7㎠ | ||||
栄養血管 | 前骨間動脈 |
臨床での観点
回内運動には方形回内筋以外に円回内筋やその他の前腕屈筋群の一部が関与します。方形回内筋固有の筋力評価では肘関節を完全屈曲し手関節を完全掌屈させることで他の筋群の影響を取りぞのけます。
この状態で回内評価すればほぼ方形回内筋の単独の筋力を把握できます。
関連疾患
・円回内筋症候群(正中神経高位麻痺)
・前骨間神経麻痺
・前腕回内拘縮