大円筋の概要
脇の下に位置し、広背筋などと共に脇の下の後腋窩ヒダを形成します。また広背筋を補助する働きをします。大円筋は肩甲下筋の分かれたものです。
大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭の3つの筋によって取り囲まれる三角形の隙間は内側腋窩隙triangular spaceと呼ばれ肩甲回旋動脈・静脈が通っています。
また大円筋、上腕二頭筋長頭、小円筋、上腕骨の4つによって囲まれる四辺形の隙間は外側腋窩隙quadrilateral space:QLS とよばれます。ここは腋窩神経と後上腕回旋動脈・静脈が通っています。
大円筋と広背筋は下角より遠位の走行がほぼ一致しているため十分な鑑別が必要です。
筋の特徴
大円筋は90°屈曲位では内旋と伸展に作用します。90°外転位では内旋と内転に作用します。
筋肉データ
項目 | 内容 | ||||
神経 | 神経支配:肩甲下神経(C6-C7) | ||||
起始 | 肩甲骨の外側縁・下角 | ||||
停止 | 上腕骨の小結節稜 | ||||
作用 | 肩関節の伸展・内転・内旋 | ||||
筋体積 | 231㎤ | ||||
筋線維長 | 14.8cm | ||||
速筋:遅筋(%) | ーーーーーー | ||||
PCSA | 15.6㎠ | ||||
栄養血管 | 肩甲下動脈、肩甲回旋動脈 |
臨床での観点
肩関節周囲炎では大円筋の圧痛、痙縮ともに強い症例が多く可動域制限の原因となる。
また棘下筋のストレッチをする際に上腕の角度を棘下筋の延長線上にポジションし水平内転させることでストレッチできますが、大円筋が短縮して外転制限が起きているときは先に大円筋のストレッチを行う必要があります。
関連する疾患
・肩関節周囲炎
・投球障害肩
・肩甲下神経麻痺