温熱療法 物理療法

超音波療法ultrasound therapy

超音波とは

超音波は超短波やマイクロ波と本質的に異なり出力されるエネルギーは機械的振動であるすなわち超音波による振動が生体に伝播されることにより熱エネルギーに変換される(温熱作用)。超音波はこの温熱作用のほかに非温熱作用(機械的作用)も有する

温熱療法に枠組みされることが多いですが、温熱作用と非温熱作用を持ちます。非温熱作用は急性炎症期間の術後直ぐに使用できるのが強みですね。

音波とは

音波はマイクロ波が横波(振動方向と進行方向が垂直)であるのに対し、縦波とよばれ気体、液体、固体を伝播するが真空では伝わらない。ヒトの耳に聞こえない周波数帯(20kHz以上,16kHz以上とすることもある)を超音波という。

音波の伝播速度(V)は電磁波が毎秒30万kmであるのに対し空気中では、t:温度V(m/s)=331.5+0.6ㆍt(m)である。しかし、媒質が異なればその速度も変化する。

余談:この電磁波は要するに光の速度です。それに対し音の速度は約340m毎秒です。雷が光ってから鳴るまでの秒数を数えて×340mで雷の位置が分かりますね。

水は空気よりも振動を伝達する力が強く水中での音の速度は空気中よりもはるかに速くなります。

周波数と波長

超音波療法で使用される周波数は0.8〜3MHzである。水と生体組織中の伝播速度Vは約1,500m/sであるので周波数(f)1MHzの超音波の波長λは

λ(m)=V(m/s)/fより,0.15cmになる。

実施方法

直接法

超音波を生体に伝播しやすくするため,皮膚に媒介物質(超音波専用ジェル)を均等に塗る

② 電源を入れる

導子ヘッド上に水滴を2,3滴のせ出力を徐々に上げる(0.51W/cm2まで)と水煙がたつことで超音波は発射していることがわかる

水滴を取り除いた後に,ヘッドを皮膚面に垂直に置き移動させる

出力を固定する

⑥出力を下げて電源を切る

使用する前にキャビテーションを行いビーム不均等率をチェックしましょう。

理学療法学 第 32巻第 8 454〜456 頁(2005年)より引用

ビーム不均等率(BNR)

BNRが大きいほど超音波の均等性が不良であることを示し不安定キャビテーションを生じる。良・不良のBNRを簡単に調べるには導子の先端に透明テープを巻いて水を5mmの深さに入れ出力を12W/cm²にして側方から水の盛り上がり程度を観察する。富士山のような盛り上がりであればBNR35、マッターホルンのような形状であれば不良のBNRと考えればよい。

ストローク法】

導子を直線的に往復させる移動の速さはBNR5以下の機器であればゆっくりと(1cm/)移動させBNR6以上のものであれば移動速度を速める(4cm/)

回転法

重なり合う円弧を描きながら導子を移動させる。移動速度はストローク法と同様であるいずれでも皮膚面にヘッドを垂直にしないと超音波が十分伝播しないので注意する

照射時間(ストローク法):急性亜急性期で35慢性期で510分。導子を移動させない固定法は空洞化を生じる可能性が高いだけでなく血流の停止血小板の凝固を起こすことがあるので使用すべきではない。

水中法

可能であれば30分以上沸騰させた水道水(1824C)を用意する。沸騰させないと超音波透過率が30%減少する。

凹凸のある患部に照射するときに行い合成樹脂からなる水槽(金属製は超音波の反射を生じるので使用しない)に患部(手や足)を入れる。

水中に導子や患部を入れると導子と患部の表面に気泡がつくことがあるこれらの気泡を手で取り除く(表面に付いた気泡は超音波の伝達を阻害するため)

導子と患部の間は最大でも数cm、通常は0.5~1cm離す。

術者の手を水中に浸さないようにする(反射した超音波照射を避けるため)

水中法に関しては直接法に対して使用は珍しいと思います。利便性に関して手間がかかりますし水の管理も面倒なことがあげられます。特に場所を限定されるので保険診療では時間的にも難しいと思います。

照射強度と頻度

殿部のような軟部組織の厚い部位や骨が皮膚に近い部位などによって照射強度が異なる一般に照射中熱く感じたりチクチクするようであれば過量であり出力を低下させる。11回の頻度で1週間処方しても症状に改善がみられなければ中止する改善がみられれば、全部で1015回まで行い初期過程を終了するこのあとさらに治療が必要であれば23週間の休みをおいてから再開するが、10回程度照射しても改善がみられなければ中止する。

物理療法全般に言えますが、強度設定は数値で設定できるものの多いですが臨床現場ではこのように患者がどう感じるかで設定する場合も多いので、強度や時間は事前に確認しておき、且つ患者の感覚を聴きながら調整することが大切です。

照射時間と照射強度

間欠波(照射時間率20%、非温熱効果)と連線波(温熱効果)の相違により照射時間と強度は果なる

生理学的作用

温熱作用

照射率100%の連続波で生じる。5cm以上の深さの組縦温を上昇させる。1MHz、 0.5W/cm²の強度で体表5cmの深さにある組織は0.2℃/分の速度で加熱される。関節の温度上昇は超短波やマイクロ波よりも大きい。これらの温熱作用の結果、つぎのような効果がある。

①コラーゲン組織の伸張性の増大

②血流の増大

③神経伝導速度の増大

④疼痛の減少

⑤酵素活性の増大

⑥ガンマ運動ニューロンの発火減少(筋緊張の減少)

コラーゲン線維は筋肉中の組織で主に筋短縮の原因となっています。筋肉が固くなる原因なので伸長する必要があります。ボディービルダーは短期間で大幅の筋増量を行いますが、短期間で超回復を繰り返すと修復を高めるためにコラーゲン線維を増殖させて回復させるそうです。コラーゲン線維は収縮要素を持たないため実質、筋収縮力は同じ直径の筋周径に比べ弱くなります。

酵素活性は温熱療法で増大しますが加温が過ぎると酵素活性は低下します。酵素は活性しやすい温度があり高温が過ぎると酵素は働かなくなります。そのため解熱剤は体温が高すぎて酵素活性が下がらないようにするために調整する働きがあります。

α-γ連関:α運動ニューロンの刺激で錘外筋線維(一般的に筋とよばれる部分)を収縮させると錘外筋線維に対して並列に配置されている筋紡錘はたるむ。たるんでしまうと筋の伸展を感知することができないので、筋紡錘を収縮させるγ運動ニューロンをα運動ニューロンに同期させて働かせることにより、筋紡錘を常にピンと張った状態にしておく。これをα連関とよびγ運動ニューロンが過剰に興奮すると過緊張になるので温熱療法はこのγを抑制することで筋緊張を緩和します。

【関節内温度变化】

超短波、マイクロ波照射による関節内の温熱効果は期待できないが超音波での関節照射は約4℃の温度上昇が可能である。このため関節内への温熱療法では超音波照射が最も効果的といえる。ブタの膝関節への超音波照射では半月板の部位での温度上昇が著しい。

【媒介物質による温度変化】

ミネラルオイルと蒸留水を媒介物質としたヒトの大腿への超音波照射では骨の前面において選択的な温度上昇が得られるが、ミネラルオイルを媒介にしたほうがその上昇は大きい

適応

温熱・非温熱作用の相異や組織温の昇程度により異なる

温熱作用

疼痛筋スパズム(硬結)、瘢痕組織異所性骨化関節周囲炎関節拘縮リウマチ腱鞘炎五十肩など。1℃の上昇で組織の代謝を活性化する。2℃の上昇で痛みを制御し,筋緊張を抑制する。34Cの上昇でコラーゲン組織の伸張性を増大する。

非温熱作用

創傷靱帯損傷浮腫血流の改善など。

禁忌

眼に超音波を照射すると組織の空洞化を生じるので絶対に照射しない

悪性腫瘍:腫瘍は超音波により増大される

③血友病結核感染症などの疾病

妊娠中

⑤脳脊髄に対する照射

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