新生涯学習制度の前期研修(実地研修)について
2022年4月より開始される新しい制度の研修です(;^ω^)
卒後5年間を義務教育的な位置づけとし前期研修(2年間)後期研修(3年間)となっています。
前回の記事でも書いてあるのですが、今までの新人教育プログラムは座学が中心であったのに対し新しい制度では実地研修となっています。
実地研修は全国の会員所属施設の職場内教育についてOJT(On the Job Training)導入を目的として位置づけられています
OJT(On the Job Training)の説明
職場での実践を通じて業務知識を身につける育成手法のことを指します。
経験豊富な職場の上司や先輩が、実際の業務を通して若手社員や後輩に知識や技術を計画的に伝えることで、研修やマニュアルだけでは中々実践につながらない知識・スキルを身につけることができるのが大きな特長です。
実際の職務現場で業務を通じて行う教育訓練のため職場内教育ともいいます。
OJTは仕事を通じて指導する方法ですが一口に仕事を通じて指導すると言っても、4つのステップにわかれています。
この4つのステップに基づく指導方法は「4段階職業指導法」と呼ばれていて、以下の4つのステップから構成されています。
- Show=やってみせる
- Tell=解説する
- Do=やらせてみる
- Check=チェックする
山本五十六の名言「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」を体現したようないいシステムですね(;^ω^)
この職場内教育はおそらく今までにもあったのですが、何が違うのかというとPT協会が新人理学療法士研修ガイドラインを作成しその基準に則ったOJTにして欲しいといものです。
もしくは、今までの職場教育でも良いので登録理学療法士というPT協会が最低限の質を担保したものが実地指導者となるというものです。
前期研修における用語
施設会員代表者
本研修の責任者として各種必要情報の閲覧、申請権限を有する立場です。適切な実地研修が実施されているか実地指導者が対象者の履修登録を行っているか等、実施状況の把握に努める役割を果たします。
2022年4月より会員管理システムが新しくなり、各施設内おいて管理者またはリーダー的役割を任せられている理学療法士会員の代表者を施設会員代表者と呼称します。
現在の施設代表者の名称は2021で廃止となります。後述する受講区分の申請はこの施設会員代表者が行います。
実地指導者
実地研修の指導をする者を指します。
理学療法士会員(在会)かつ登録理学療法士であることが条件となります。
それ以外の指導者は案内などの補助的な役割で参加しても良いがあくまで指導は実地指導者が行います。
実地研修の受講区分のフローチャート
①登録PTがいる(イエス・ノー)
ここでは常勤や非常勤は問われていません。パートでも、時間短縮職員でも大丈夫です。
イエスの場合は②へ
②協会作成ガイドラインに沿って実務が可能?(イエス・ノー)
イエスならばD-1:(イ)に進みノーであればD-1:(ロ)に進みます。
イとロの研修を受けている途中で実地指導者が不在となった場合はD-2に移行します。履修したコマは保存されますので残りをD-2で履修してください。
イ⇒ロもしくはロ⇒イも同様です。履修したコマは保存されるので残りを履修しましょう。
不在というのは退職以外にも更新せずに登録PTを失効した場合や会費を未納入で退会処分された方や休会して会員権利を停止されている状態を指します。
③最初の設問がノーであった場合はそのままD-2に行きます
D-2を受講している最中に登録PTが施設内に所属した場合自動的にD-1に移行します。
他と同様に履修コマ数は保存されていますので残りを履修します。
登録PTが所属しているがD-2に登録したいと思っても出来ません。
登録PTがいる施設は強制的にD-1となります。
他施設の見学研修について
見学施設一覧が教会HPにあります。ダウンロードできますがおそらく今後変化することもあるので行く際は最新版の情報をチェックして行きましょう。
過去に同一施設へ見学申請を行っている場合マイページからの受け入れ申請は出来ませんが、行っても構いません。システムの問題です。
その場合は直接施設宛に見学希望のアポをとる必要があります。
この履修ポイントに関しては受け入れ施設の実地指導者が全部行います。
人間ですので忘れることもあると思います(;^ω^)
見学受け入れ担当者からの連絡を待ち7営業日経過しても連絡が来ない場合は直接問い合わせて下さい。
見学研修の履修登録は実地指導者が行うので受講者自身の登録は不要です。もし自分で登録出来たら不正の温床になるでしょうね(笑)
見学研修の最低時間は1コマの90分です。
1日の最大の履修コマ数は5コマです。これは8時間労働で最大5コマしか受講できないからだと思います。
残業はNGです。あくまで勤務の一環としての教育ですから。
e-ラーニングについて
実地研修32コマのうち31コマが履修可能。残り1コマは症例検討会の聴講か他施設での見学研修となります。
D-2のカリキュラムですがD-1の方でもe-ラーニングを自分の勉強として受講したい方もいるでしょう。
その場合はD-1を終了してから受講可能となります。
症例検討会の聴講
1症例×聴講3回で1コマとなります。1症例の推奨時間は30分以上です。質疑応答を含みます。
これは3回を超えて何回分聴講しても1コマです。
聴講前に前期研修B-5(症例報告・発表の仕方)の履修が必要です。
前期研修は聴講です。
またD-1ならば不要ですね。後期研修で症例検討会がありますが(;^ω^)
座長は登録PTであること。またルールとして参加費を徴収しない事が明記されています。タダで受講できます。
協会員以外のものの聴講参加は座長が決定できます。
オンライン形式の場合は2つの条件があります。
①参加者の管理が出来る事
②双方向により質疑応答の疎通が可能であること。
後期研修について
座学などは以前からあるのでそのまま受講すればよいと思います。
E:の領域別研修(事例)についてだけ触れます。
E領域別研修(事例)士会『承認』症例検討会実施マニュアルより抜粋しました。
『士会主催型症例検討会』『士会承認型症例検討会』の2区分あります
承認型は施設内での症例検討会を指し開催者である座長が都道府県理学療法士会に事前に開催申請し承認されることで開催が認められます。
開催要件
以下全ての要件を満たす必要がある。
また本要件以外に県士会が独自に追加要件を定めている場合がある。
1.開催者である座長が事前に所属する士会に申請し、承認を受ける
2.必ず選択する講義テーマ(E1~3)に応じた内容で開催
3.1症例ごとに発表者、聴講者の履修管理ができること
4.1症例あたりに開催時間は可能な限り推奨時間(30分以上)で開催すること
5.1症例の発表(質疑応答含む)時間は可能な限り推奨時間30分以上で開催する事
6.座長は登録理学療法士であること
7.履修コマ数は1回の発表で1コマ1回の聴講で1/3コマとすること
8.参加費を徴収しない
9.WEB開催を認めるが注意事項に留意する事
オンライン形式開催条件
1.参加(聴講・発表)者の管理が出来ること
2.双方向により質疑応答の疎通が可能である事
注意事項
1.1回あたりの発表症例数に定めはありません。
2.症例検討会日に聴講発表するものであり、当日の様子を録画し後日視聴する事で聴講とは認められません。
3.履修は認められないが非会員を聴講発表可能とするかは座長が決定できる。
4.開催施設は座長が勤務する所属施設でなくてもかまいません。
5.年会費の払い忘れは権利停止となります
開催申請は座長のみ可能マイページから申請
申請は事前申請のみ。前日までに申請できるが士会が申請期日を独自に設けている場合があり申請期日超過などにより否認される場合あり
承認判断は士会の運用・判断基準による
承認された場合
開催の準備方法は士会が定めていない限り特になし
座長のマイページから聴講者受付用のQRコードが取得できます。
当日、対面の受付時にQRコードを印刷もしくは自身のスマホで表示し聴講者が読み取ることで履修登録が簡略化する
否認の場合
理由がメールで届きます。
中止に関しては座長が行う。申請の承認作業が完了するまで再度申請は不可
こんな感じですね。
まとまっていないじゃないか?と思っちゃダメですヨ(;^ω^)
まとめ
基本的に前期研修はどの状態であれ履修コマ数は保存されます。
登録理学療法士がいる場合はD-1に決定されます(強制)
見学施設の登録は施設会員代表者のみ可能。
履修登録は実地指導者のみ可能であり、忘れない様に協会から登録の促進メールが来ます。
僕の疑問や想ったこと
施設会員代表者は通常、主任や部長などの上司を想定していますが、上司が所属していない、もしくは登録PTでなく、部下が登録PTの場合の気まずさとか・・・・(笑)
立場逆転ですね(;^ω^)
もう一つは登録理学療法士を取得した人が1人しかいない状態で新人が大量にいた場合のD-1の苦労は大変だろうと思いました。新人理学療法士職員研修ガイドラインに則ると・・・きつい。
ここは強制でD-1なので、しかも上述の場合は上司の方針と異なるかもしれないのでD-1:ロになるのかな?
例えば実地指導者がガイドラインに沿っていても上司がメチャクチャひどい場合や職場が非常にブラックな場合など職場内教育にパワハラがかかっている場合でも新人はD-2には行けないのでしょうか?
あると思います。そういう職場も・・・💦
暗い話ばっかじゃ嫌ですね(;^ω^)
きっと少しずつ理学療法士の質の担保に向かっていくのだと考えていきます。
次回はガイドラインについて書いていきたいと思います。
ここまで読んで下さりありがとうございます(*^^)v