いかり肩と、なで肩ってどんな状態?(怒り肩と撫で肩)
1)いかり肩の特徴
いかり肩では、鎖骨は挙上し肩甲骨は上方回旋・内転位となります。さらに、胸椎も伸展位になり、上位肋骨は挙上位となります。
この姿勢は重力によって上肢や肩甲帯が下方に引き下げられる力に、頸部の筋群が過剰に拮抗しているために生じていると考えられています。
そのため、頸部の筋が発達し斜角筋隙は狭小化していることから、腕神経叢が絞扼されやすい状態となると考えられます。⇒胸郭出口症候群(TOS)
このような症例では、上肢を挙上位に保持させると、症状が再現できることが多いです。
2)なで肩の特徴
なで肩では、頸部の筋も発達しておらず、いかり肩と比較すると腕神経叢が絞扼されにくいように感じますが、臨床において胸郭出口症候群(TOS)と診断される症例は、成年期の女性で、なで肩であることが多いと言われています。
なで肩では、鎖骨は下制し肩甲骨は外転・下方回旋位、胸椎は屈曲位となり、上位肋骨も下制されます。
いかり肩が重力によって、上肢や肩甲帯が引き下げられる力に過剰に拮抗していると考えるならば、なで肩は重力に負け、上肢や肩甲帯が下方に牽引されていると捉えることができます。
そのため、腕神経叢にも牽引力が加わり絞扼されると考えられます。
なで肩と、いかり肩による筋肉の状態
いかり肩や、なで肩の評価はどうするの?
これは基本的には単純に視認で良いと思います。
ですが筋肉の隆起で間違えやすいこともあります。特に分かりづらいのは僧帽筋の上部線維が発達している方ですね。
例えばハンマー投げの室伏広治氏などは顕著に筋肉の発達で服の上から見るとなで肩に見えます。
そのため評価には鎖骨を見るようにしましょう。
鎖骨の傾斜と水平線とのなす角を鎖骨角とし、そのなす角が「いかり肩」は10°以上、「普通肩」が5°以上10°未満、「なで肩」が5°未満であることが示唆された。との研究もあります。
(木村淳志, 西村勇輝,なで肩といかり肩の判定基準に対する一考察(第2報)Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集))
いかり肩や、なで肩の弊害とは?
なで肩やいかり肩は特徴として見た目が大きく変化しますよね?女性であれば、なで肩を男性であればいかり肩を望む方もいるかもしれませんね。
また、スーツは肩幅がある方が似合うかもしれませんし、着物であればなで肩の方が似合うかもしれません。
健康に関してはどうでしょうか?
これはどちらの肩も肩こりや胸郭出口症候群に悩まされることも多いはずです。⇒肩こりに関してはこちらの記事を
どんな作業でも言える事なのですがパソコン仕事をしていると肩こりはひどくなりますよね?
指先の仕事と思いがちですが、指を動かすには前腕や肘、肩の部分は固定されていなければいけません。
中枢部の固定があって初めて末梢は運動出来るのです。(コアスタビライズ・リムブムーブメント)
特に日常生活においてはデスクワークの方に多いのが、いかり肩です。
パソコン仕事では頭頸部が体幹よりも前方に出てしまうため、頭の重さを支えるために頸部の筋肉が過緊張の状態となり肩甲挙筋などの筋肉はガチガチに凝ってしまいます。
同時に肩を引き下げる僧帽筋の下部線維などは弱い状態です。
それでは、なで肩はどうでしょうか?
なで肩は両腕の重みに肩の位置が耐えられず肩が下がっている状態ですのでそれに耐えるようにやはり肩の筋肉はガチガチに凝ってしまいます。
また同時に、肩を引き下げる僧帽筋の下部線維などの緊張も高い状態ですね。
いかり肩や、なで肩の治療はどうすればいいの?
まずは姿勢の修正です。
デスクワークの方はパソコンと少し離れて姿勢が前傾になりすぎない様に注意し、筋肉が短縮しない様に定期的に首を動かしたり立ち上がって体幹を回旋したり大きく腕を回すなどの工夫が必要です。
その上で、いかり肩の治療はどうすればよいでしょう(*^^)
斜め上の天井を覗くようにしましょう。
まずは首だけで左を向いてそのまま右にかしげます。
そのまま天井を向いてみましょう。
これで左の僧帽筋上部線維のストレッチや肩甲挙筋のストレッチが出来るのですが、左肩がついてきて上がるかもしれないので右手で左肩を抑えましょう。
この運動を反対もやってみましょう(;^ω^)
30秒程度持続ストレッチすると終了です。
次に僧帽筋下部線維のトレーニングとしては両腕をお尻に合わせて下に滑らせます。
このままお腹をへこませるようにすれば腰椎の過伸展も防ぎつつ僧帽筋下部線維のトレーニングも出来ます。
また、両手を背中の後ろで組んで下方に引き下げるようにしてもいいと思います。
大胸筋や小胸筋のストレッチにもなります。
次になで肩の治療ですね(*^^)v
体幹の回旋や側屈をしましょう
次に僧帽筋の上部線維のトレーニングとしては両手にダンベルを持って肩をすくめる運動を行いましょう。
両方共通の運動もあります
これは肩甲挙筋のストレッチです。
左を向いて鼻を肩に近づけるように首を曲げていきます。
これで右の肩甲挙筋を伸ばせるのですが先程と同様に右の肩がついてきて上がらない様に左の手で右肩を抑えましょう。
これを反対も行います。
持続ストレッチで30秒行います。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございます(;^ω^)
皆さんの悩みの解決に少しでも役立てたら嬉しいです(*^^)v
僕は僧帽筋が非常に発達しており一見してなで肩に見えますが室伏さんタイプですね(>_<)
あんな凄い身体ではないですが(笑)
これに続き痺れ感がある方などにも合わせた記事を書いていきますので、次の記事でお会い出来たらと思います。