レム睡眠とは
レム睡眠は急速眼球運動を伴う睡眠段階である。REM(Rapid Eye Movement)睡眠とも呼ばれ、閉じたまぶたの下で眼球が素早く動き、脳波は覚醒時に近い低振幅速波を示す。骨格筋の緊張は低下し、鮮明な夢を見やすい時期である。睡眠全体の約20~25%を占め、記憶の整理と定着、情動の処理に重要な役割を果たす。
どこでみるのか
レム睡眠は脳幹、特に橋と中脳の神経核により調節される。臨床では睡眠ポリグラフ検査で脳波、眼球運動、筋電図を記録して評価する。リハビリテーション場面では問診と観察により睡眠の質、日中の眠気、夜間の異常行動の有無を確認する。パーキンソン病などの神経変性疾患ではレム睡眠行動障害の合併が多く、注意深い聴取が必要である。
何をみているのか
レム睡眠中には脳活動、自律神経機能、筋緊張の状態を評価する。脳波は覚醒時に似た低振幅速波を示し、θ波が出現する。急速眼球運動が特徴的で、骨格筋の筋緊張は著しく低下する。心拍数と呼吸は不規則になり、夢の内容に応じて変動する。海馬でのθ波生成により記憶の整理が行われる。
臨床でどうみるか
睡眠の問診では入眠時間、中途覚醒、早朝覚醒、総睡眠時間を聴取する。日中の眠気の程度、集中力低下、疲労感の有無を確認する。同居者から寝言、異常な動き、大声、暴力的行動の有無を聴取する。パーキンソン病、レビー小体型認知症などの基礎疾患の有無を把握する。日中の活動量、運動習慣、服薬状況も評価項目となる。
評価で何をみるか
- 睡眠時間と睡眠効率
- 入眠潜時
- 中途覚醒の回数と持続時間
- 日中の眠気の程度(Epworth Sleepiness Scale)
- 睡眠の質の主観的評価(Pittsburgh Sleep Quality Index)
- 寝言や異常行動の有無と頻度
- レム睡眠行動障害のスクリーニング(RBD screening questionnaire)
- 夢の内容の行動化
- 睡眠中の怪我や転落の既往
- 同居者の睡眠への影響
- 日中の活動量と運動耐容能
- 認知機能の状態
- 抑うつ症状の有無
- 服薬内容(特に向精神薬、抗パーキンソン病薬)
- 基礎疾患の有無(神経変性疾患、精神疾患)
臨床でよく出る問題
- レム睡眠行動障害による夜間の異常行動
- 寝言、叫び声、暴力的な動き
- 本人や同居者の怪我
- ベッドからの転落
- 睡眠の質の低下
- 日中の過度な眠気
- 注意力と集中力の低下
- 疲労感の持続
- リハビリテーションへの参加意欲の低下
- 神経変性疾患への進行リスク
起こりやすい要因
- パーキンソン病やレビー小体型認知症などのα-シヌクレイノパチー
- 多系統萎縮症
- 抗うつ薬(特にSSRI、SNRI)の使用
- アルコール依存症
- ナルコレプシー
- 脳幹の障害
- 加齢(特に50歳以上の男性)
- ストレスや不安
- 不規則な生活リズム
- 運動不足
注意したい症状
- 睡眠中の激しい動き、暴力的行動
- 鮮明で悪夢的な夢の増加
- 本人や同居者の怪我
- 日中の強い眠気と突然の入眠
- 認知機能の急速な低下
- パーキンソニズムの出現
- 幻視の出現
- 自律神経症状(起立性低血圧、便秘、排尿障害)
- 抑うつ症状の悪化
対応の基本
睡眠環境の整備が第一である。ベッド周囲の危険物を除去し、低床ベッドの使用や床にマットを敷くなど転落対策を講じる。規則正しい生活リズムを確保し、日中の活動量を増やす。カフェインやアルコールの摂取を控える。レム睡眠行動障害にはクロナゼパムやメラトニンが用いられる。原因薬剤がある場合は減量や変更を検討する。
リハビリの視点
日中の適度な運動は夜間の睡眠の質を改善する。有酸素運動やレジスタンストレーニングを組み合わせた運動プログラムが有効である。神経変性疾患では早期からの介入が重要で、運動機能の維持とともに睡眠障害への対応を行う。日中の活動性を高め、覚醒度を維持することで夜間の睡眠を促進する。睡眠時無呼吸症候群の合併がある場合は呼吸理学療法も考慮する。
ひとことで言うと
レム睡眠は急速眼球運動と筋緊張低下を伴う睡眠段階で、記憶の整理と情動処理に重要である。レム睡眠行動障害は神経変性疾患の前駆症状として注意が必要である。
関連用語
- ノンレム睡眠
- 睡眠ポリグラフ検査
- レム睡眠行動障害
- α-シヌクレイノパチー
- パーキンソン病
- レビー小体型認知症
- 睡眠段階
- 急速眼球運動
- θ波
- 記憶の固定化
- 睡眠効率
- 睡眠衛生
参考文献
- レム睡眠のメカニズムと生理的意義 - 生化学
- レム睡眠 - 厚生労働省 e-ヘルスネット
- The Biology of REM Sleep - PMC
- REM睡眠行動障害 - 済生会
- レム睡眠行動障害の神経治療学 - J-STAGE
- 睡眠のリハビリテーションアプローチ - gene
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