翼状片

翼状片とは

翼状片(よくじょうへん、Pterygium)とは、結膜(白目の部分)の下にある組織が異常に増殖し、角膜(黒目の部分)に向かって三角形の翼のような形状で侵入してくる眼の疾患である。通常、鼻側(目頭側)から角膜中央に向かって進行することが多い。良性の病変であるが、進行すると乱視や視力低下を引き起こし、視機能障害をもたらす可能性がある。リハビリテーションの対象となる患者においては、視覚情報の獲得や日常生活動作に影響を及ぼすため、早期発見と適切な対応が重要である。

どこでみるのか

翼状片の評価は眼科外来で行われる。細隙灯顕微鏡(スリットランプ)を用いた拡大観察により、結膜から角膜への侵入の程度、組織の盛り上がり、充血の状態を詳細に観察する。リハビリテーション場面では、患者が訴える視力低下、異物感、充血などの自覚症状の聴取が重要である。また、視覚を用いた動作訓練や日常生活動作の遂行において、視機能障害の影響を評価する必要がある。

何をみているのか

翼状片では、結膜組織の角膜への侵入範囲、組織の厚みや充血の程度、角膜形状の変化(不正乱視の有無)、視力への影響を評価する。進行例では、瞳孔領(瞳の中心部分)への到達により視力が著しく低下する。また、異物感、充血、流涙などの自覚症状の程度も重要な評価対象である。角膜形状解析(トポグラフィー)により乱視の程度を定量的に評価することもある。

臨床でどうみるか

臨床場面では、まず視診により結膜の白濁した三角形の組織が角膜に侵入している様子を確認する。細隙灯顕微鏡検査で組織の厚み、血管新生の程度、角膜への侵入範囲を詳細に観察する。視力検査により裸眼視力と矯正視力を測定し、乱視の程度を評価する。また、患者の自覚症状(異物感、充血、見えにくさ)を問診で確認し、進行の経過や生活環境(紫外線曝露の程度)を聴取する。

評価で何をみるか

  • 翼状片の大きさ(角膜への侵入距離)
  • 組織の厚みと盛り上がりの程度
  • 充血の有無と程度
  • 瞳孔領への到達の有無
  • 裸眼視力および矯正視力
  • 乱視の有無と程度(角膜形状解析)
  • 異物感、ゴロゴロ感の有無
  • 流涙、眼脂の有無
  • 視覚的な不快感(まぶしさ、かすみ)
  • 美容的問題(充血の目立ち具合)
  • 日常生活動作への影響(読書、運転、細かい作業)
  • 進行速度(経時的変化の評価)
  • 紫外線曝露歴(職業、屋外活動の頻度)
  • 両眼性か片眼性か
  • 再発の有無(手術既往例)

臨床でよく出る問題

  • 視力低下による日常生活動作の制限(読書、運転、細かい作業)
  • 異物感、ゴロゴロ感による不快感の持続
  • 充血による美容上の問題(社会的活動への抵抗感)
  • 不正乱視による見え方の歪み
  • まぶしさ、羞明感の増強
  • 手術後の再発(10~20%の症例で生じる)
  • 手術に対する不安や恐怖
  • 高齢者における全身状態と手術適応の判断
  • リハビリテーション場面での視覚情報の獲得不良
  • バランス訓練や歩行訓練での視覚的フィードバックの低下

起こりやすい要因

  • 長期間の紫外線(UV-B波)曝露
  • 屋外作業の多い職業(農業、漁業、建設業等)
  • 中高年以降の年齢(加齢)
  • 男性に多い傾向(職業的曝露の影響)
  • 熱帯・亜熱帯地域の居住
  • 乾燥した環境、砂埃の多い環境
  • コンタクトレンズの長期装用による慢性的刺激
  • 眼表面の慢性炎症
  • 遺伝的素因
  • 喫煙

注意したい症状

  • 急速な進行(数ヶ月で角膜中央に到達)
  • 瞳孔領への到達による視力の急激な低下
  • 強い充血と炎症の持続
  • 異物感の著明な増強
  • 眼痛の出現
  • 視界の歪みや複視
  • 手術後の早期再発
  • 感染徴候(眼脂、発赤の増強)
  • 角膜混濁の残存による永続的な視力障害

対応の基本

軽度の翼状片で視力に影響がない場合は経過観察とし、紫外線防御(サングラス、UVカットコンタクトレンズの使用)を指導する。充血や異物感に対しては、抗炎症点眼薬(ステロイド点眼、非ステロイド性抗炎症点眼)を使用する。進行して視力低下や乱視が顕著になった場合、または美容的問題が強い場合には手術適応となる。手術は局所麻酔下で翼状片組織を切除し、健常な結膜を移植する(結膜弁移植術)。術後は点眼管理を継続し、再発予防を図る。

リハビリの視点

リハビリテーション専門職は、翼状片による視機能障害が運動機能訓練やADL訓練に与える影響を認識する必要がある。視力低下や乱視により、バランス訓練時の視覚的フィードバックが低下し、転倒リスクが高まる可能性がある。また、細かい動作訓練(巧緻動作、書字、調理動作等)において視覚情報が不十分となる。そのため、訓練環境の照明調整、コントラストの強化、視覚以外の感覚(触覚、固有感覚)の活用を促す。術後は一時的な視力変動や異物感が訓練意欲に影響することがあるため、患者の訴えを傾聴し、訓練内容を柔軟に調整する。

ひとことで言うと

翼状片とは、結膜組織が角膜に侵入する進行性の眼疾患であり、紫外線が主因で、視力低下をきたす場合には手術による切除が必要である。

関連用語

  • 結膜(Conjunctiva)
  • 角膜(Cornea)
  • 不正乱視(Irregular Astigmatism)
  • 細隙灯顕微鏡検査(Slit-lamp Examination)
  • 紫外線(Ultraviolet: UV)
  • 結膜弁移植術(Conjunctival Autograft)
  • 瞳孔領(Pupillary Area)
  • 偽翼状片(Pseudopterygium)
  • 羞明(Photophobia)
  • 視機能障害(Visual Impairment)

参考文献

関連記事

  • 紫外線と眼疾患の関係
  • 不正乱視と視機能障害の評価
  • 術後の視力変動とリハビリテーション
  • 視覚障害とバランス機能の関連
  • 高齢者の眼科疾患と転倒リスク
  • 視覚代償と感覚統合訓練

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