内側半月板

内側半月板とは

内側半月板(Medial Meniscus)とは、膝関節の内側に位置する三日月状の線維軟骨組織です。大腿骨と脛骨の関節面の間に存在し、荷重分散、衝撃吸収、関節安定性の向上、関節軟骨の保護などの重要な役割を担っています。内側半月板はC字型をしており、外側半月板に比べて可動性が低く、内側側副靱帯(MCL)と強固に結合しているため、損傷を受けやすい特徴があります。前節と後節に分かれ、特に後節は荷重時に大きなストレスを受けます。半月板の周辺部(赤色帯)には血流がありますが、内側部(白色帯)には血流がないため、損傷部位により治癒能力が異なります。スポーツ外傷や加齢性変化により損傷しやすく、膝関節障害の主要な原因の一つです。

どこでみるのか

内側半月板は膝関節の内側、大腿骨内側顆と脛骨内側顆の間に位置しています。臨床では、内側関節裂隙を触診することで半月板の位置を確認します。視診では、膝の内側の腫脹や関節裂隙の開大の有無を観察します。触診では、膝を軽度屈曲位にして内側関節裂隙に沿って圧痛点を確認します。特に前節、体部、後節の3つの領域に分けて評価します。また、膝の屈伸運動時に内側関節裂隙に手を当て、クリック音(弾撥音)や引っかかり感の有無を確認します。損傷時には、内側関節裂隙に沿った圧痛、腫脹、可動域制限が認められることが多く、特に後節損傷では膝窩部の不快感や疼痛が出現することもあります。

何をみているのか

内側半月板の評価では、圧痛の部位と程度、腫脹の有無、関節裂隙の圧痛、クリック音や弾撥音、引っかかり感、ロッキング症状(膝の伸展制限)、giving way(膝崩れ)の有無、関節可動域制限、関節水腫の有無などを観察します。触診では、半月板の各部位(前節、体部、後節)の圧痛を確認します。特殊テストでは、McMurray test、Apley test、Thessaly testなどを実施し、半月板損傷の有無を評価します。また、膝の屈伸やスクワット動作時の疼痛や音の発生、荷重時の不安定感も重要な観察項目です。MRI検査では、半月板の形態、損傷のパターン(縦断裂、横断裂、バケツ柄状断裂など)、変性の程度を詳細に評価できます。

臨床でどうみるか

臨床では、まず受傷機転を聴取します。急性損傷(スポーツでの回旋ストレス、しゃがみこみ動作)か、慢性・変性損傷(加齢性変化、繰り返しのストレス)かを確認します。視診で膝の腫脹、筋萎縮(特に大腿四頭筋)、歩行パターンを観察します。触診では、患者を仰臥位にし、膝を軽度屈曲させた状態で内側関節裂隙を触診し、圧痛点を確認します。次にMcMurray testを実施します。患者を仰臥位にし、膝を完全屈曲させた後、下腿を外旋させながら膝を伸展させます。内側関節裂隙でクリック音や疼痛が誘発されれば陽性です。Apley testでは、患者を腹臥位にし、膝を90度屈曲させ、下腿に圧迫を加えながら内外旋します。疼痛が誘発されれば半月板損傷が疑われます。Thessaly testでは、患者を片脚立位にし、膝を20度屈曲させた状態で体幹を回旋させ、膝の疼痛や不快感の誘発を確認します。関節可動域測定では、特に完全伸展と深屈曲での制限や疼痛を評価します。ロッキング症状(膝が一定角度で固まる)の有無も重要な所見です。

評価で何をみるか

  • 受傷機転と発症様式(急性外傷か慢性変性か)
  • 内側関節裂隙の圧痛(前節、体部、後節)
  • 腫脹の有無と程度(関節水腫、周径測定)
  • McMurray test(クリック音、疼痛の誘発)
  • Apley compression test(圧痛の誘発)
  • Thessaly test(片脚立位での回旋ストレステスト)
  • ロッキング症状の有無(膝の伸展制限)
  • クリック音・弾撥音の有無
  • 関節可動域(ROM測定、特に伸展・屈曲の制限)
  • 膝崩れ(giving way)の既往
  • 歩行時の疼痛と跛行の有無
  • 階段昇降時の症状
  • しゃがみ込み動作時の疼痛
  • 大腿四頭筋の筋力(MMT)と筋萎縮
  • 膝関節の不安定性(ACL、MCLの合併損傷評価)
  • 荷重時の疼痛と不快感
  • 夜間痛の有無
  • 関節穿刺所見(血性関節液の有無)
  • MRI所見(半月板の形態、損傷パターン、変性度)
  • X線所見(関節裂隙の狭小化、骨棘形成)
  • 機能評価スケール(Lysholm score、IKDC score、KOOS)

臨床でよく出る問題

  • 内側半月板の断裂(縦断裂、横断裂、バケツ柄状断裂、フラップ状断裂)
  • 変性断裂(加齢性変化による退行性断裂)
  • ロッキング症状(膝の伸展制限)
  • 関節水腫(膝の腫脹)
  • 膝の疼痛(荷重時痛、動作時痛)
  • 可動域制限(特に完全伸展と深屈曲の制限)
  • 膝崩れ(giving way)
  • クリック音や引っかかり感
  • 階段昇降時の困難
  • しゃがみ込み動作の制限
  • ACLやMCLとの合併損傷
  • 大腿四頭筋の筋力低下と筋萎縮
  • 変形性膝関節症への進行
  • 半月板切除後症候群

起こりやすい要因

内側半月板損傷が起こりやすい要因として、膝への回旋ストレス(スポーツでの急激な方向転換、ジャンプ着地)、深いしゃがみ込み動作、急激な立ち上がり動作、膝屈曲位での強制的な捻り、加齢による半月板の変性、反復する膝への負荷(繰り返しのスクワット動作、長時間の立ち仕事)、肥満による過度な荷重、筋力不足(特に大腿四頭筋、ハムストリングス)、膝関節の不安定性(ACL損傷の既往)、下肢のアライメント異常(内反膝)、過去の膝外傷歴、不適切なトレーニング方法などが挙げられます。また、内側半月板は内側側副靱帯と結合しているため可動性が低く、外側半月板に比べて損傷を受けやすい構造的特徴があります。

注意したい症状

内側半月板損傷に関連して注意すべき症状には、膝の急激なロッキング(伸展不能)、著明な腫脹の急速な出現(関節血腫の可能性)、激しい疼痛による荷重困難、膝崩れの頻発、階段降段が不可能なほどの疼痛、夜間痛の出現、安静時の持続的な疼痛、膝の完全伸展不能の持続、感染の徴候(発熱、著明な熱感・発赤)、神経症状(しびれ、感覚障害)、循環障害の徴候(冷感、チアノーゼ)などがあります。これらの症状が出現した場合は、重度の半月板損傷、合併損傷(ACL、MCL、軟骨損傷)、遊離体、感染、血管神経損傷などの可能性があるため、速やかに医師への報告と精査が必要です。

対応の基本

内側半月板損傷に対する基本的な対応は、急性期にはRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を実施し、炎症と腫脹のコントロールを図ります。疼痛が強い場合は松葉杖による部分荷重を行います。保存療法では、疼痛と腫脹が軽減した段階で、大腿四頭筋とハムストリングスの等尺性収縮訓練を開始します。段階的に関節可動域訓練、筋力増強訓練(CKC運動を中心に)、バランス訓練、固有受容感覚訓練を実施します。サポーターやニーブレースによる膝の保護も検討します。日常生活では、深いしゃがみ込み動作や膝への回旋ストレスを避けるよう指導します。保存療法で改善が見られない場合、ロッキング症状が持続する場合、バケツ柄状断裂などの大きな断裂がある場合は、手術療法(半月板縫合術、部分切除術)が検討されます。術後リハビリでは、早期からの関節可動域訓練と筋力訓練を段階的に進め、競技復帰までには十分な筋力回復(健側の85%以上)と機能的テストのクリアが必要です。

リハビリの視点

リハビリテーションにおいて内側半月板は、膝関節の荷重分散と衝撃吸収に不可欠な組織であり、その機能不全は変形性膝関節症への進行リスクを高めます。半月板損傷の治療では、損傷のタイプ(急性か変性か)、損傷部位(周辺部か中央部か)、患者の年齢、活動レベルに応じた適切なアプローチが必要です。保存療法では、膝関節の安定性を高める筋力強化(特に大腿四頭筋とハムストリングス)が中心となります。また、半月板への負担を軽減するため、下肢のアライメント評価と動作パターンの修正が重要です。手術後のリハビリでは、術式(縫合か切除か)により進行速度が異なるため、医師の指示を遵守しながら段階的に進めます。特に半月板縫合術後は、早期の過度な荷重や深屈曲を避け、治癒期間を確保することが重要です。長期的には、膝関節への負担を軽減する生活指導(体重管理、適切な運動習慣、膝に優しい動作の習得)が再発予防と変形性膝関節症の予防に不可欠です。

ひとことで言うと

内側半月板とは、膝関節内側の荷重分散と衝撃吸収を担う線維軟骨であり、その損傷は膝の疼痛と機能障害の主要な原因である。

関連用語

  • 外側半月板
  • McMurray test
  • Apley test
  • バケツ柄状断裂
  • ロッキング症状
  • 半月板縫合術
  • 半月板切除術
  • 関節鏡視下手術
  • 変形性膝関節症
  • 内側側副靱帯(MCL)
  • 前十字靱帯(ACL)
  • Lysholm score
  • IKDC score

参考文献


関連記事

  • 半月板損傷の診断と評価
  • McMurrayテストの実施方法
  • 半月板縫合術後のリハビリテーション
  • 変形性膝関節症との関連
  • 膝関節の荷重分散機構
  • スポーツ復帰のための機能評価

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