そもそも見せ筋って何?
通称『見せ筋』と呼ばれるものがあります。ボディービルダーなど体を鍛えることで得た見た目に綺麗な筋肉ですね(美的感覚は人それぞれです)
この見せ筋は有るのか・無いのかという議論を筋肉業界ではよく聴きます(;^ω^)
まず筋肉に見掛け倒しなんていうものはあるのでしょうか?
いいえ筋肉の収縮力は絶対筋力で断面積1㎠で6±2㎏重の張力をもちますので太ければ強いのです。
そう筋肉は太ければ強いのです(;^ω^)大事な事なので2度言いました。
筋肉が太くなるとスピードが落ちる………なんて漫画ではよく出てきますが筋肉は出力器官ですのでそんなことはありません。
実際に短距離選手であるスプリンターは太い筋肉を持っていますよね。
事実ボディービルダーは凄まじい高負荷トレーニングにより誰も扱えないような重量を扱っていますね(;^ω^)
では『見せる筋肉は』ないのでしょうか?
上記の様に見掛け倒しの筋肉がない以上『見せ筋』とは何なんでしょうか?
それはおそらく実用性ということでしょう。
使える筋肉か使えない筋肉かはその競技性によります。
筋肉自体に問題がないのであれば競技に対する成長の方向性が合っているのかどうかということですね(*'▽')
ボディービルダーがやたらTVで不利な状況でやられていますが、スポーツにはその競技性に合った身体操作と筋肉の発達が必要です。
筋肉の特性を知ろう
筋肉の特性や働き
①筋肉の収縮力=筋の断面積に依存します。断面積1㎠で6±2㎏重の張力があります
②筋肉の収縮速度=白筋(速筋・typeⅡb=速い)赤筋(遅筋・typeⅠ=遅い)ピンク筋(中間筋・typeⅡa=中間の速度)
③筋収縮の持続性=白筋(速筋・typeⅡb=疲労しやすい)赤筋(遅筋・typeⅠ=疲労しにくい)ピンク筋(中間筋・typeⅡa=中間の持久性)
④筋肉の巧緻性=神経筋の発達程度、脳のシナプス、運動学習、神経支配比
⑤筋肉の関節特異性=筋肉は鍛えた関節角度で最大の収縮力を発揮します。
⑥筋肉の柔軟性=筋肉は癒着や短縮で関節運動の制限因子となります。
⑦筋肉の収縮様式=収縮様式も身体操作の際に運動学習の要素の一つです。(等張性・等尺性・等速性・プライオメトリックス)
競技性に必要な要素を知ろう
①身体の操作性=運動学習とその動きを可能とする筋肉や骨、神経の発達
②持久性競技=全身持久力(最大酸素摂取量、赤筋線維の発達、省エネの運動フォームの習得、TCA回路)
③パワー競技=筋力+収縮速度(筋の直径の増大、解糖系回路、太い神経の発火、伸張反射、コアスタビライズ)
④バランス能力=筋の伸張反射、動作の戦略性、姿勢反射、足底の感覚情報、深部感覚、重心のコントロール、コアスタビライズ
⑤メンタル=練習の反復、競技の楽しさ、継続性、勝利への意欲、競争性
⑥速度=(スピード、アジリティ、クイックネス)
※スピード=身体位置をいかに速く移動させるか。アジリティ=重心をその場においていかに速く体の位置を切り替えるか。クイックネス=手足をいかに素早く動かすか。
他にもたくさんありますが、筋肉もこのような運動特性に応じて発達しますのでボディビルダーが卓球を出来なくても使えない筋肉ではありません。
その『競技性に合った筋肉がある』という結論でいかがでしょうか?
筋肉を鍛えるメリットとは
①パフォーマンスをあげる
筋肉は出力器官です。鍛えることはパワーを引き上げよりパフォーマンスをあげます。二関節筋は運動性を単関節筋は安定性を向上させます
②怪我の予防
筋肉は緩衝素材であり且つ遠心性収縮(エキセントリック)は減速の速度コントロールに使いますので怪我の予防に効果的です。コンタクトスポーツでは必須ですね
③脂肪を燃焼させて太りにくい身体づくり
ボディメイクの基本は筋肉です(*'▽')筋肉は皮膚にハリをもたせ抗重力作用により姿勢保持、たるみに効果的です
④アンチエイジング
筋肉は保水量が多い組織であり、内分泌による細胞の修復に関与していますので老化を遅らせます。
⑤記憶力の増加
筋肉の増加やトレーニングには神経栄養因子の増大により認知力の向上が得られます。
⑥メンタルの強化
筋肉の増量は自信の獲得。継続性(根気・集中力)の獲得
⑦社会的信頼を得る
海外ではマッチョは就職率が高いです。筋肉を鍛えることは一朝一夕でできるものではありません。食事やトレーニングの戦略や継続性が必要です。
そのためマッチョは自己管理が出来るので社会的信頼が高いのです。
筋肉を鍛えるデメリットは?
筋肉を鍛えるデメリットは無い・・・・・と言いたいのですが対比にならないので何とか挙げてみます。
①美醜の問題
筋肉質が美しいと思うか醜いと思うかは程度や好みによるものですがここは人によって大きく異なりますね。
個人的には筋肉質はカッコいいと思っています。最近は筋肉が好まれる時代になってきて嬉しいですwww
②鍛えすぎた筋肉には可動性が少ない
先に断っておくと筋肉を鍛えることで体が固くなることはありません。高重量負荷や格闘家も柔軟性は高い人が多いです。逆にガリガリで運動不足で体が固い人も多いですね。
しかし、ボディビルダーほどまで筋ボリュームがあると流石に筋肉が邪魔で可動域に制限が起きます。ビルダーの背中に湿布を貼ると剥がせないこともあります。
③競技性や必要に応じた筋肉が必要
上記に挙げたように筋肉が邪魔になるのは不必要な筋肉だからです。必要に応じたトレーニングしましょう。
競技に必要なのは筋パワー(仕事量)です。収縮力だけでなく距離や速度が必要なのでムキムキ過ぎてストロークが小さくなるとパワーは落ちてしまします。
腕相撲なら収縮力が優先順位が高いでしょうがパンチにするなら関節運動の距離や動かす速度が大切だということです。
念のためにもう一度聴くけど『見せる筋肉』(使えない筋肉)は本当にないんだね?
実は・・・・・
あまりに高負荷のトレーニングで短期間の筋肥大を繰り返すと筋線維のエラスチン線維よりも収縮要素の無いコラーゲン線維比率が高くなり収縮力が弱くなると言われています。
しかし腱性成分はコラーゲンなので筋トレで非常に筋が強くなると腱が断裂の危険性が高くなるのでその腱性成分が太くなるとも言われていますので答えはまだ分かりません。
もっともこれはボディービルダークラスの筋量の話なので一般人には縁遠いかもしれません。
もう一つは筋肉の収縮力は筋量ではなく筋の断面積であることが重要です。
筋肉量を増やすことで筋力は強くなりますが筋は非常に重い組織ですので、筋肉を鍛えることは重量を増やし筋力体重比は低くなります。
そのため競技特性においてはムキムキすぎても自身の巨体をコントロールできない場面もあり得ます。
腱の太さによってその人に適した筋量もあるので限界を超えるような筋肉には実用性を犠牲にする場合もあるかもしれません(>_<。)
この記事をここまで読んでくださりありがとうございます。
また別の記事で詳細に書きたいと思いますのでよろしくお願いします。