高齢者の筋トレは若者と何が違うのか?
筋トレの別の記事でも書いたように7つの原則が基本的なルールです。
この中で個別性の原則を考えれば高齢者と若者で体力も目的も異なりますので勿論ですが、筋トレの内容も変わっていきます。
若者:心身ともに元気で充実している。また、目的も多様でダイエット、ボディメイク、スポーツのためなど様々
高齢者:病気やケガ、体力の低下など心身ともに疲労しやすい。目的は健康増進やADLの再獲得など
高齢者はその多くが基礎疾患を持っていたり、複合疾患により運動に制限がかけられていることも珍しくありません。
健常な高齢者でも基本的には健康増進や介護予防が目的であることが多く、リハビリ目的であれば更に疾患の禁忌や適応が筋トレに制限をかけていきます。
ポイント①
継続性の原則:高齢者の多くは集中力や根気が長く続きません。これは脳の疲労や筋疲労が若者に比べ激しく継続性を低下させる要因となります。そのため、日常生活で運動量を増やしたりズボラな筋トレを指導・紹介することが大切です。(ながらトレーニングや毎日では無く、1週間での運動量の目安を設けるなど)
ポイント②
有酸素運動:高血圧が多い高齢者には無酸素運動での筋トレや等尺性収縮は血圧を上げて血管が破裂するリスクを高める危険性がありますので呼吸を止めずに等張性収縮を行うことが大切です。
1番良いのは動作の反復の際に片道(屈曲・伸展や外転・内転など)に3~4秒程度の時間をかければ血圧が上がりにくいので1.2.3.4.(折り返し)5.6.7.8などと声かけしたり、自分で発声することが大切です。
発声は息こらえ(バルサルバ効果)による血圧上昇や不整脈の誘発を防ぎます。
ポイント③
禁忌・適応に合わせて行う。勿論、当然ではありますがドクターの指示に従うといってもPTが詳細に負荷量やセット数を指示されることは無いので自分で気を付ける必要があります。
①呼吸状態の確認:呼吸頻度、浅呼吸、奇異呼吸、息切れ
②心拍数の設定:心疾患の有無と目的に応じた%HRの設定を計算する(40~60%など)
③体内人工物の有無:ペースメーカーや人工関節の破壊の防止や運動方向の確認
④変形や内部疾患の確認:筋トレが逆に関節破壊や内臓の負荷にならないようにフォーム、機器の設定
⑤転倒注意:転倒が危険なので体操指導では椅子を活用したり臥位で出来るものなども含めて安全配慮を行う
⑥分かりやすさ:運動を学習しやすい工夫、見せる→行う→修正やプリント配布など
まとめ
運動に関しては高齢者と若者で結構違いがありましたね。
まずは目的です。目的が異なれば当然のことですが運動負荷や運動量、運動頻度は変わります。
そして継続しやすく健康に留意しながら病気やケガに関しては禁忌と適応を頭にいれて運動する必要があります。
高齢者にお勧めの筋トレ本は鎌田實先生のズボラ筋トレです。
鎌田先生は日本にリハビリテーションを持ち込まれた医師で非常に人間味のある優しい先生です。
実用書としても優秀ですが先生の人柄を知ると尚のこと読んでみたくなる本です。
特に高齢医療や介護予防などに興味のある方は必見です。
理学療法士や作業療法士、デイサービスの機能訓練指導員や健康運動指導士の方などは色んな体操指導を行うと思いますが、具体的な運動内容と負荷量、セット数が決まっていると楽ですよね。
特に重要なのは継続性ですのでそこでこそ真価を発揮するのがこの『ズボラ筋トレです』!
デイサービスでの機能訓練指導で悩んでいる方、特に按摩マッサージ士や看護師の方が機能訓練指導員の場合はメニューを決定するのが難しいと思いますので参考にされると良いと思います。