圧痛

圧痛とは

圧痛とは、身体の一部を押したときに生じる痛みのことです。患者さんが「ここを押されると痛い」と感じる反応で、触診で確認される代表的な所見のひとつです。安静にしていても痛む自発痛とは少し性質が異なり、どこを押すと痛いのか、どの程度の圧で痛むのかをみることで、問題のある組織や部位を絞り込む手がかりになります。

どこにあるのか / どんな場面で使うのか / どこでみるのか

圧痛は特定のひとつの組織だけにみられるものではなく、筋、腱、靱帯、関節周囲、骨、皮下組織など、さまざまな部位で確認されます。理学療法やリハビリの臨床では、問診で聞いた痛みの場所と実際の圧痛部位が一致するかを確認しながら、症状の中心がどこにあるのかを探っていきます。

たとえば、捻挫後の靱帯部、腱障害での腱付着部、筋の過緊張が強い部位、骨折や打撲の局所などで圧痛はよくみられます。動作時痛だけでは原因が絞りにくい場面でも、圧痛の位置や広がりをみることで評価の精度が上がります。

何をしているのか / 何をみているのか

圧痛をみる目的は、単に「押すと痛いかどうか」を確認することだけではありません。どの組織が刺激に敏感になっているのか、炎症や損傷がありそうか、過負荷が続いていないかを推測するために使います。

臨床では、以下のような点をあわせてみます。

  • 痛みがもっとも強い場所はどこか
  • 一点に限局しているのか、広い範囲なのか
  • 浅い場所で痛いのか、深部で痛いのか
  • 軽く触れただけで痛いのか、ある程度押して痛いのか
  • 腫れ、熱感、硬さ、しこり感を伴うか
  • 動作時痛や可動域制限とどうつながっているか

つまり圧痛は、局所の状態を知るための大事な身体所見であり、問診や動作観察と組み合わせて意味づけることが大切です。

臨床でよく出る問題

圧痛は多くの運動器疾患でみられますが、特によく出会うのは以下のような場面です。

  • 捻挫や打撲などの外傷後
  • 筋肉や腱の使いすぎによる痛み
  • 関節周囲の炎症や負担の集中
  • 姿勢不良や反復動作による筋緊張の増加
  • 骨折や疲労骨折など骨性の問題

また、局所の問題だけでなく、痛みに対する過敏さが強くなっている場合には、圧痛が広い範囲に出たり、症状の強さと組織所見が一致しにくかったりすることもあります。

起こりやすい要因

圧痛が出やすくなる背景には、局所への負担や組織の感受性の上昇があります。よくみられる要因は以下のとおりです。

  • 急な外力や受傷
  • 運動量や活動量の急な増加
  • 同じ動作の繰り返しによる過用
  • 柔軟性低下や筋の過緊張
  • アライメント不良による負担の偏り
  • 炎症や腫脹の存在
  • 痛みが長引くことによる過敏性の上昇

圧痛があるからといって必ず重い損傷とは限りませんが、どのようなきっかけで出てきたかを丁寧にみることが重要です。

評価でみるポイント

圧痛の評価では、ただ押して終わりにせず、再現性と意味づけを意識して確認します。

  • 圧痛の部位がはっきりしているか
  • 左右差があるか
  • 点状なのか、線状なのか、面状なのか
  • 軽い圧で痛むか、深く押して痛むか
  • 腫脹、熱感、発赤、硬結を伴うか
  • 関節運動や筋収縮で同じ痛みが再現されるか
  • 日常生活動作や歩行で症状がどう変わるか
  • しびれや感覚異常、筋力低下を伴わないか

評価では、患者さんの表情や防御反応も参考になります。ただし、押す強さが毎回ばらつくと比較しにくくなるため、できるだけ一定の圧で丁寧に触れることが大切です。

注意したい症状 / 注意したい点

圧痛はよくある所見ですが、以下のような場合は注意が必要です。

  • 安静時にも強い痛みがある
  • 夜間痛が強い
  • 腫れ、熱感、発赤がはっきりしている
  • 外傷後に荷重できない、動かせない
  • しびれや筋力低下を伴う
  • ごく軽い接触でも強い痛みが出る
  • 広い範囲に強い圧痛があり、局在がはっきりしない

また、圧痛は診断名そのものではありません。圧痛がある部位と本当の原因が一致しないこともあるため、動作、可動域、筋力、神経症状、受傷機転などをあわせて判断する必要があります。

対応の基本

圧痛がみられた場合は、まず痛みの背景にある組織や負担のかかり方を整理することが基本です。急性期で炎症が強そうなときは負担を下げ、腫れや熱感の変化を確認します。一方で、慢性的な筋緊張や過用が背景にある場合は、姿勢や動作の見直し、負荷量の調整、運動療法などが必要になります。

対応では、以下の視点が重要です。

  • 圧痛部位だけでなく周囲の機能もみる
  • 負担を増やしている動作や生活背景を確認する
  • 必要以上に強く押して症状を悪化させない
  • 経過の中で圧痛の位置や強さが変わるかを追う
  • 骨折、感染、神経障害などが疑われる場合は医療機関受診につなげる

圧痛は評価の入口として有用ですが、それだけで終わらず、機能面までつなげて考えることが臨床では大切です。

ひとことで言うと

圧痛とは、「押したときに出る痛み」であり、どこに問題がありそうかを探るための基本的で重要な身体所見です。

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