健康

第2弾:肥満について知ろう(メカニズム)

肥満症とは

一般的に、正常な状態に比べて体重が多い状況、あるいは体脂肪が過剰に蓄積した状況を言います。体重や体脂肪の増加に伴った症状の有無は問いません。

体質性のものと症候性のものに分類できますが、後者を特に肥満症と呼ぶこともあります。

肥満はあらゆる病気の原因となり治療費や健康対策費が余計にかかり、国民経済への影響も多大であり、肥満人口減少プログラムが組まれる機会が増えるとみなされています。

特に肥満は生活習慣病の原因ともなっていますし特に糖尿病のリスクファクターとなっています。

糖尿病は進行すると腎症に進行し透析治療の対象ともなりますので非常に医療保険の圧迫をしますので、国や自治体レベルでも健康教室や健康指導では真っ先に取り組まれるのがこの肥満解消です。

出典:日本透析学会:わが国の慢性透析療法の現況

肥満により糖尿病が発症しやすくなります。この糖尿病はアジア人では特に糖尿病性腎症への進行が著しく透析が必要となってくるケースも稀ではありません。

現在の透析患者の約44%は糖尿病性腎症から透析治療を開始したと言われています。

透析患者の医療費は年間で約460万円ほどだと言われており、この透析患者のうち原疾患が糖尿病である患者数は1万6千人にものぼると言われていますので莫大な医療費がここに捻出されています。(736億円)

疫学的にはこの肥満によりインシュリン抵抗性が高まることで糖尿病⇒腎症⇒透析の流れになるのでリスクファクターである肥満の解消は国益的にも非常に有用だと言えます。

また、肥満は高血圧や高脂血症により心疾患や脳血管障害のリスクも高まるので死因、重度後遺症、要介護、医療費、介護保険料など様々な波及が考えられます。

肥満のメカニズム

1.摂取エネルギーと消費エネルギーの差

肥満の原因は様々ですが決定的なものはエネルギーのアンバランスです。

食事からの摂取エネルギーが多く、基礎代謝(生命活動や体温維持)や運動による消費エネルギーが少ないと体脂肪に蓄積します。

過食には普段の食事の習慣性とレプチンというホルモンが影響しています。

脂肪細胞から出るレプチンというホルモンが脳の視床下部にある受容体に作用し、食欲を抑えていますが、体重が増える過程や肥満者では、レプチンが出てはいても効きが悪く食欲が抑えられずに食べ過ぎてしまいます。

またこのレプチンや満腹中枢の閾値は運動によっても変化します。積極的な運動はレプチンの放出や感受性を高めますし、満腹中枢の閾値を下げ空腹中枢の閾値を上げるので、肥満者の方にとっては普段よりも少量の食事で十分に満足感があります。

私もしばらく過食でしたがフルマラソンを走るようになってからは食事摂取量は少なくなっていました。勿論体を作るためには食事は必要なので競技者としての運動量か健康増進のための運動量かでこの答えは変わります。アスリートではより強靭な肉体を作るためにエネルギー摂取量は増えますが過食者(エネルギーのアンバランス)は食欲が正常に戻ると考えてください。

消費エネルギーで一番大きいのは基礎代謝ですが、これには筋肉量や毛細血管量、酸素消費量、体温、肝臓の働きなど多くの要因が絡みます。

高齢者になると基礎代謝が低くなりますし、運動後は基礎代謝も高くなります。また低温環境下でも体温維持のためにエネルギー消費量は増えます。

基礎代謝に知りたい方は関しては⇒こちらもみて下さい

2.肥満遺伝子や遺伝子異常

遺伝的に熱産生を高めにくい人がいます。

熱産生とは各器官でエネルギーを燃やして熱を発生することですが、この機能が少しでも落ちれば余剰なエネルギーができやすくなります。

脂肪細胞にあるUCP-1(アンカップリングプロテイン1)という成分が熱産生を強く引き起こします。

つまりエネルギーを効率よく熱に換えるのですが、この機能が非常に弱くなっているような遺伝子異常をもつ人がいます。

また、アドレナリンが脂肪細胞の表面にあるβ3受容体に結合すると細胞内の中性脂肪が分解されて熱産生が高まり、体脂肪が減って太りにくくなるのですが、この遺伝子異常も日本人の約3割にあると言われています。

3.睡眠不足による肥満

睡眠時間の短さと肥満との相関関係を指摘する数多くの報告があります。

シカゴ大学内分泌学部門のイヴ・ヴァン・コーター博士は、睡眠不足が肥満に結びつくメカニズムについて、以下のように説明しています。

「睡眠不足は飢餓信号を送るホルモン、グレリンの分泌を増加させ、レプチンの分泌量が減る。睡眠科学の分野の研究者らはこの発見を踏まえて、小児を対象にした分析を立て続けに行なった。この研究を行っている研究者に共通した見解は『睡眠時間の短い子供はよく寝ている子供より太っている』

睡眠時間が短過ぎたり、ストレスに常に晒されていると、「ストレス・ホルモン」であるコルチゾールの分泌が増えます。

コルチゾールは、脂肪を蓄積させるホルモンであるインスリンの分泌を誘発するため、「ストレスで太る」可能性は十分にあるといえます。

また睡眠障害である睡眠時無呼吸症候群も肥満との関連性が高いと言われています。

ストレスが増えると人間は血糖値をあげるためにコルチゾールを放出します。

なぜストレスが増えると血糖値を上げるのかは分かっていませんが、ある仮設では大昔の人間はストレス環境下=動物や災害に襲われたときに全身の筋肉をフル稼働させるために、もしくは出血を止めやすくするために血糖値を上げて血液凝固を助けたとも言われています。

そのためストレスが高まることでコルチゾールが働き血糖値を高めます。その後再びインシュリンが放出されて再度血糖値を下げるのですがその際に脂肪に対する糖の取り込みを促進するというのです。

しかし、インシュリンは筋肉を発達させるアナボリックホルモンでもありますから、一概にインシュリンが悪玉とは言えません。

むしろ、コルチゾールが大量に且つ長期的に放出されるとインシュリン抵抗性が高まり高血糖状態が慢性化し糖尿病リスクが高まります。

肥満の記事なのにどうしても糖尿病に話がそれていきますがそれだげ睡眠はおおきな役割を果たしています。

また睡眠時には成長ホルモンが大量に放出されます、これは成長期においては骨端線を延長させたり筋肉や神経のの発達を助ける働きがあると言われています。(成人の筋肥大に積極的な効果は薄いという説も)

成人してからは組織の修復に使われています。特に血管修復に作用しており代謝にも少なからず影響しています。

睡眠時無呼吸症候群の治療は肥満や糖尿病に有効であるとも言われています。

4.腸内細菌と肥満

環境要因のひとつとして腸内細菌叢が肥満を惹き起こしているとする研究があります。

肥満の有無に、「アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)という腸内細菌が関わっている」との指摘があります。

この細菌が少ない人ほどBMI数値が高いといわれています。

痩せている人ではこの細菌が腸内細菌の4%を占め太った人ではほとんどゼロです。

この細菌は腸壁を覆う粘液層の表面に潜んでいます。

この細菌が少ないと粘液層が薄くなり、リポ多糖が血中に入りやすいとされます。

リポ多糖は脂肪細胞の炎症を引き起こし、新しい脂肪細胞の形成を妨げ、既存の細胞に過剰な量の脂肪の蓄積を惹き起こすといわれています。

糖の摂取がインシュリンを誘発し脂肪細胞への糖の取り込みを誘起することで肥満が生じますので糖の制限は痩せるために非常に有効です。

しかし、糖はエネルギー源として非常に素早く燃焼し特に速筋線維の滑動には欠かせないエネルギー源ですので極端な糖の制限はデメリットもあります。

この腸内細菌は成人してから大きく変わることはありませんが、腸粘膜を覆うものがあれば痩せるのは事実です。そのためコンニャクや食物繊維の摂取や腸壁粘膜の吸収孔よりも分子構造の大きい人工甘味料などの糖は吸収されませんので痩せます。

話がそれましたが、腸内細菌にはタンパク質を作り出すものや免疫物質を作り出すものもいますので肥満への影響も様々です。

今回の内容は肥満シリーズの第2弾で肥満のメカニズムに関してでした。

このシリーズはまだまだ関連疾患とダイエットにも続いていきますので是非続きもご覧ください。

ここまで読んで下さりありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

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