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血圧についてもう少し知ろう(血圧シリーズ②)

血圧とは?

血圧は1日の中でも上下して、常に変化しています。

第1弾でも書いたのですが、夜間や睡眠中は最も低く、目覚めると次第に上がっていきます。

その血圧の変動に関わっているのが液性調整神経性調整です。

 

【液性調整】とは

液性調整は視床下部や脳下垂体、副腎、腎臓などから分泌されるホルモンが調節に働くことを指します。

いわゆる内分泌のことですね。

因みに体内に働くホルモンなどを内分泌、汗など体外に働くものを外分泌と言います。

液性調整もしくは液性調節とは

ホルモンによって行われる、ある器官の機能の調節のことを、体液循環を介した調節であることから液性調節と呼びます。

液性調節は、神経伝達物質を介した神経性調節に比べて時空間的には厳密なコントロールができない一方、遠く離れた器官に大きな影響を与えることができる、コストのかからない調節であるといえます。

 

(1)視床下部

交感神経の刺激

視床下部の図

(2)脳下垂体

①血管の収縮

②副腎皮質刺激ホルモンの分泌

脳下垂体の図

(3)副腎皮質

①腎臓でのナトリウム再吸収の促進

②血液量の増加

③心拍数の上昇

副腎皮質の図

 

(4)副腎髄質

①血管の収縮

②心拍数の上昇

 

(5)腎臓

①血管の収縮

②血液量の増加

 

【神経性調整】

神経性調節は自律神経が関与しています。

動脈には血圧と酸素量を感知する受容器が備わっており、受容器がとらえた情報は血管運動中枢に伝えられます。

血圧が上昇すると副交感神経が刺激されて心拍数を低下させたり、血管を拡張させて血圧を下げる働きをします。

逆に下降すると交感神経を刺激して心拍数を上げて血圧を上昇させる働きをします。

神経調整もしくは神経調節とは

アドレナリンなど液性調節と神経性調節の両方でシグナル伝達に介在する物質もあります。

ただしホルモンは神経伝達物質などと物質が共通しているものが多く、また神経伝達物質も必ずしもシナプス内だけで働くものではありません。

そのため、神経伝達物質や細胞増殖因子とホルモンを特に区別しない場合もあります。

実際に、ホルモンは他の情報系や標的細胞の様々な要因と密接に関連しながら作用を及ぼします。

 

体液バランスとは?

体液量も血圧に影響します。

血管という通路に大量に血液(水分)が通れば内圧は上昇し血圧が高くなるからです。

水は体の単一要素として年齢と性別に依存して45-75%を占めます。

水の獲得と喪失源

必要な水分量

主な水の供給源は液体の摂取1600mL水気のある食べ物700mLであり、消化管で吸収され、一日約2300mLとされています。(必要水分量は1.5L/日もしくは35mL/kg/日である)

もう一つの水の供給源は代謝水(酸化水)で、これは主に酸素が電子を受け取るという細胞の有酸素呼吸で生じる水と化学反応の時に生ずる水である。代謝水は一日約200mL程度である。

一日の水の獲得量は合計で2500mLになります。

勿論、体格差や、気温など個人差や環境要因で摂取量は変化しますし、運動中は代謝水は増加します。

 

化学反応とは...

脱水縮合反応において、二つの比較的小さい分子であるグルコースとフルクトースは一つの大きいスクロースという分子を形成します。(同時に水分子が除かれる)

いろいろな物質が合成されたり分解されたりするときによく使われます。

人体の中でタンパク質の部品になるアミノ酸は20種類あって、構成するアミノ酸の数や種類と順番によって、できあがるタンパク質のかたちや働きが決まります。

20種類のアミノ酸もそれぞれ分子のかたちが違うのですが、どのアミノ酸もすべてひとつの同じ方法で連結することができます。

この連結は、つながるときに水分子ができる脱水縮合のひとつで、ペプチド結合といいます。

 

水分排出量

(1)尿量 

腎臓は約1.5L/日の尿を作りだす。飲食物の量、季節などに著しく変動します。

しかし正常の場合は500mL~2Lの範囲にあります。

尿量は最低500mL必要であり、体内における代謝産物、不要物などを溶かして排泄させる尿で不可避尿と呼ばれます。

(2)蒸発

皮膚や呼吸器の粘膜は空気よりも湿っているので、ここから常に水分の蒸発が行われています。

水分蒸発のしくみには不感蒸発と発汗があります。

①不感蒸泄

水分無意識に行われている水分の蒸発で①皮膚表面500~700mL/日気道(肺)150~450mL/日の水分が蒸発しています。

②発汗(温熱性発汗)

温度上昇が刺激となり、体表面のエクリン腺から温熱性発汗が生じます。

汗の量は最高で1~1.5L/時間にも達します。

睡眠中は昼間活性化した脳を休ませるため、体温を1℃程度下げる仕組みとして使われます。

体温調整のため健常者は睡眠中に約200mL(コップ一杯分)の発汗が生じると言われています。 

汗は蒸発する際に気化熱となり周囲の温度を奪うことで体温を下げます。

【汗の成分】

主成分は水で、ミネラル、乳酸塩、尿素も含む。

ミネラル分の目安としては、ナトリウムが 0.9 g/L、カリウムが 0.2 g/L、カルシウムが 0.015 g/L、マグネシウムが 0.0013 g/L である。その他のさまざまな微量元素も汗と共に排出される。

濃度の目安(実測値には15倍ほどものばらつきがある)は、亜鉛が 0.4 mg/L、銅が 0.3–0.8 mg/L、鉄が 1 mg/L、クロムが 0.1 mg/L、ニッケルが 0.05 mg/L、鉛が 0.05 mg/L である

(3)消化管

消化管からは便として150mLの水分が排出される。

 

※ある特定の経路での水喪失は非常にばらつきます。

激しい運動、消化管の感染による下痢、月経などがあります。

 

水と溶質の喪失の調整

運動による蒸散と汗を介しての水と溶質の生じている時でも、過剰な水と溶質を尿としてどのくらい排出するのかを調節するのが主な調節メカニズムになります。

尿中の塩(NaCl)の排出量が体液量を決定する主要な因子である。

NaClの増加は血漿中のナトリウムイオンと塩素イオンのレベルを上昇させる。

その結果、間質液の浸透圧が上昇し、細胞内から細胞外へ水の移動が生じる。

このような水の移動が血液量の増加をもたらします。

ナトリウムイオンと塩素イオンの腎臓での再吸収を決定する主要なホルモンはアンジオテンシンⅡアルドステロン心房性ナトリウム利尿ペプチドです。

血液量の増加により、傍糸球体細胞からのレニン分泌が減少し、アンジオテンシンンⅡの形成が少なくなる。

アンジオテンシンⅡの減少により糸球体濾過量の増加と尿細管でのナトリウムイオン、塩素イオンおよび水の再吸収を減らす。

血液量の増加は心房を伸展させ、この伸展は心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の放出を促す。

ANPは腎臓でナトリウム利尿を、つまり尿中へのナトリウムイオンの分泌を促し、これにより血液量の減少をもたらす。

血液量の減少により、アンジオテンシンⅡとアルドステロンの分泌が亢進し、腎臓でのナトリウムイオンと塩素イオンの再吸収を促進する。

それにより尿量を減少させることにより体液を保持する。

 

腎臓について

糸球体濾過

包内腔に入った液体を糸球体濾過液と呼ぶ。成人の一日の糸球体濾過量は女性で150L、男性で180Lです。

しかし、糸球体濾液の99%以上が尿細管再吸収によって血液に戻るので、尿として排出される量は1-2Lです。

 

糸球体濾過量(GFR)

両腎臓の全ての腎小体で濾過された一分間あたりの濾過量。

成人におけるGFRは女性では約105mL/min、男性では125mL/minです。

体液のホメオスタシスのためには腎臓が比較的一定のGFRを維持することが必要です。

やはりホメオスタシスは水という酸素やミネラル、栄養などを運ぶために一定の水準の量とバランス調整が必要なんですね。

 

GFRが高値であれば、尿細管を通過する速度が速すぎて必要の再吸収ができず、それらの物質は体外に尿として排泄されてしまいます。

一方低値であればほとんどすべてが排出されてしまい、老廃物が十分に排出されなくなります。

ここら辺は健康診断などに出てくる項目なので気になったら見てみましょう。

腎臓の自己調節

通常、日常に起こる血圧変化に対して腎臓はそれ自体で一定の腎血流とGFRを維持しようとします。

この能力を腎臓の自己調節と呼ぶます。

なんにでも調整機構は備わっているものなんですね(;^ω^)

 

腎臓の自己調節は筋原性機序尿細管糸球体フィードバックより成ります。

この二つが一緒に作用することで体循環血圧が広い範囲で変化してもGFRをほぼ一定に維持することができます。

①筋原性機序

血圧が上昇すると腎血流量が上昇するためGFRも上昇します。

上昇した血圧は輸入細動脈の壁を伸展させます。

それに反応し、輸入細動脈の平滑筋線維は収縮し、その細動脈系は細くなります。

その結果、腎血流量は減少しGFRは減少します。

逆に動脈血圧が下がると平滑筋細胞の伸展度は少なくなり、弛緩します。

そして輸入細動脈は拡張し、腎血流量が増加してGFRが上昇する。

②尿細管糸球体フィードバック

尿細管の一部の緻密斑が、糸球体にフィードバックをかけます。

緻密斑細胞はNa、Clおよび水の増量を感知し、傍糸球体装置(JGA)の細胞の細胞からの一酸化窒素(NO)放出を抑制すると考えられています。

NO(一酸化窒素)は血管拡張を起こすため、NOレベルが低下すると輸入細動脈は収縮します。

その結果、糸球体毛細血管に流れる血流量が減少し、GFRが低下します。

血圧が低下すると、一連の逆の反応が起こります。

尿細管糸球体フィードバックは筋原性機序に比べてゆっくりと作用することが特徴です。

一酸化窒素は血管を柔らかくする効果があり、今後色々な記事に出てくると思いますので覚えておきましょう。

 

③レニン-アンジオテンシン系

 

輸入細動脈の血圧低下や血液量の減少は傍糸球体装置からレニンの分泌を促します

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系と呼ばれる一連の反応は、血液循環機能調節に関与します。

<レニンの作用>

①アンジオテンシンノーゲンに作用してアンジオテンシンⅠを生じ、これはさらに血中の酵素であるキマーゼの働きでアンジオテンシンⅡに変換される。

これは血管を収縮させることにより強力な血圧上昇作用を示します。

②副腎皮質に作用して電解質コルチコイドであるアルドステロンの分泌を促す。

アルドステロンは遠位尿細管におけるNa再吸収を促進し、Kを排泄することから体液量維持に働いている。

 

最後に

ここまで読んで下さりありがとうございます。

まだまだ血圧については色々あるので、今後も記事が増えていくと思います。

今回の記事の内容は腎臓の働きや尿の働きの他に

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