リハビリ 運動器

足関節内反捻挫(part2)

足関節は内反しやすいことを前回の記事で書きましたので、今回は受傷機転の背景と受賞後の治療やリハビリについて書いていきたいと思います。

足関節内反捻挫の背景について

①足関節の運動軸が底屈位で内反に誘導されること(運動軸)

 

 

距腿関節の運動軸です。やはり内反するように構造的にあっていますね。

 

距骨下関節の運動軸です。

やはり内反する方向ですね。

理由は前回の記事に書いてあるので合わせて読んでいただけると助かります(^ω^)

②運動連鎖による足関節の内反

 

 

運動連鎖については様々な考えがあると思います。

基本的には関節運動は隣り合った関節に運動効果を波及していきます。

今回は足関節が回外して内反捻挫しやすい姿勢ということで骨盤後傾の下降性の運動連鎖です。

OKCとでリンクする関節の運動連鎖は変わりますのでパターンは基本だけ覚えて、いくらでもパターンから逸脱するものだと考えてください。

この通りに動かない連鎖パターンも普通に起きます。

それと関節は基本的に内旋や外旋などと運動の名称で書きますが、CKCなどでは隣接した関節もしくは骨との相対的位置関係と表記することもあります。

立位で膝屈曲した際の足関節は脛骨に対する相対的背屈位です。

話を戻しますがこのような姿勢の場合O脚なので回外しやすくなっています。

ただし極端な場合は身体を前額面で振り子上に動かしたり、すり足となり内反しないパターンもあります。あくまで個別性のある問題です(*^^)

③足部の過回内・過回外

 

 

サピネーション(回外)での前距腓靭帯や踵腓靭帯といった外側靱帯が伸びやすいのは図をみれば明らかだと思いますが、オーバープロネーションも実は内反捻挫をしやすい足関節の形体なのです。

足関節の内反捻挫はジャンプの着地で多いのですが前述のとおり足関節はホゾ構造で荷重位で安定しているのでOKCでは腓骨筋が働いていないと運動軸が斜めになっているので内反しやすいのです。

このオーバープロネーションは外側靱帯や腓骨筋群にとっては弛緩位なので筋力低下や筋発揮の遅延が発生し着地やターンの際に捻挫することが多いのです。

またこの肢位も先ほどの下降性の運動連鎖や距骨下関節の変形、シューズのすりヘリなどにより発生します。

ランニングシューズではオバープロネーション対策の機構があるので怪我の予防のためにも適切なタイミングで買い替える必要があります。

屈の内側や外側によるすり減りや破れ方でどこに荷重が多いのかも分かります。

しかしランニングシューズはオバープロネーション用の機構があり外側が固くなっているものも多いので、一番良いのは裸足とシューズで後ろから観察する事です。

自分の分を確認したい場合はスマホやカメラで後ろから観察してみましょう。

靴だけでなく運動連鎖や動作時の重心線が関節軸の前後左右のどこを通るかを確認しましょう。

内反捻挫位に伴う損傷とは?

まず捻挫の程度です。

整形外科学会ではこのような基準を設けています。

1度捻挫:靭帯が伸びる程度の損傷を指します

2度捻挫:靭帯の一部が切れるものを指します

3度捻挫:靭帯が完全に切れるものをさします

①前距腓靭帯

関節包の一部が肥厚した関節包靭帯です。

前距腓靭帯の走行は前額面で約45°、水平面で25内方に傾斜しており内反制動に作用します。

また矢状面で47°前方に傾斜しているため、距骨の前方移動も制動しています。

内側側副靭帯である前脛距靭帯も距骨の前方移動を制動しています。前距腓靭帯と前脛距靭帯は騎手が馬の手綱をコントロールするように距骨の前方移動を制動しています。

前距腓靭帯の機能不全により、距骨は前脛距靱帯のみに制動され内旋を伴った前方移動位になります。

 

 

足関節の背屈運動には距骨の後方スライドと後方回転がありますが、前内方に偏位した距骨では背屈時の後方スライドに制限がかかり足関節の背屈運動も制限されることがあります。

また、距腿関節の前方に前脛腓靭帯の遠位線維束が存在する場合もあり、前内方に距骨が偏位している場合は背屈時にインピンジメントすることがあります。

それによってもまた背屈制限を引き起こすことがあります。

また、このように距骨が前内方に移動することで踵骨は相対的に回外位となり小趾球荷重となり前述したサピネーションになりやすく捻挫がクセになることもあります。

また安易に母趾球荷重にした場合は過度に長母趾屈筋の過用と短縮が生じてしまいます。

それにより、距骨の後方スライドを阻害し悪循環になることもあるため足部全体のアライメントや全身を含めたアライメントの修正が必要です。

②踵腓靭帯

踵腓靭帯:関節包とは独立した関節包外の靭帯です。ほぼ真下からやや後方へ伸びる靱帯です。

そのため底背屈に関わらず一定の緊張を持つので内反を抑制する主要な靱帯でもあります。

単独損傷は珍しく主に前距腓靭帯損傷と合併します。約半数近い内反捻挫でこの靭帯損傷が見られます。

正中位からやや背屈位での内反が生じた場合(横からのタックルなどの衝突など)は単独損傷も生じます。

③後距腓靱帯

関節包内に存在するが滑膜腔外に存在する靭帯です。

背屈位で緊張する靱帯ですが、足関節の構造上底屈位で内反しますので外側靱帯である以上背屈位での内反は発生しにくく損傷することは滅多にありません。

④前脛腓靱帯

前脛腓靭帯は、脛骨下端から脚骨下端に向かって外下方に走行する靱帯です。

脛骨と腓骨は、近位端では脛腓関節を形成し遠位端では前脛腓靭帯と後脛靱帯により靭帯結合を形成します

さらに骨幹部では下腿骨間膜によって結合しています。

そのため、遠位端での脛腓間は大きな可動性を持ちません。

しかし、背屈では距骨が脛腓天蓋に入り込むため脛腓間はわずかに離開します。

底屈運動では側方安定を代償するように脛腓間は狭くなります。

前脛腓靭帯はその走行から脛腓間の過剰な離開を制動する作用をもち足関節の背屈運動で緊張します。

⑤腓骨の剥離骨折

捻挫が強度であった場合に靱帯が過度に引き延ばされ骨付着部の剥離骨折が生じます。

腓骨が多いのですが距骨や踵骨の剥離骨折も生じます。

受傷の程度によっては手術もありえます。?

足関節内反捻挫の予防方法は?

①アライメントの修正(静的・動的)

②腓骨筋群の筋トレや長母趾屈筋の柔軟性の獲得

③シューズの適応(オーバープロネーション対応型など)

④インソールの調整

⑤再発予防としてテーピングやサポーターの使用

⑥ハイヒールなどの履物や下り坂には注意する

足関節内反捻挫の治療やリハビリは?

捻挫直後は1度損傷などであればそのまま運動を継続しても問題ありません。

ただし、疼痛や炎症反応などがあれば即座に寒冷療法を実施してください。

①急性期の損傷は基本的にRICEが基本です。アイシングの方法は⇒こちら

②腓骨筋群の強化(座位での下腿外旋や足関節の外返しなど、また内反を伴わないカーフレイズ)長腓骨筋短腓骨筋第3腓骨筋

③足関節の背屈可動域の確保(下腿後面や足底面のストレッチ)

 下腿三頭筋や足底筋膜、長母趾屈筋のストレッチなど

④全身のアライメント修正(骨盤後傾の修正や足部のアーチの修正など)

⑤全身の協調的な筋力発揮の訓練(スクワットやフロントランジなど)

 

 

 

 

 

 

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