子供の時に筋肉を鍛えすぎると身長が止まるってホントなの?
「子供の頃に筋肉を鍛えすぎると身長が伸びない」という話を耳にします。子どもが筋トレをすると筋肉が邪魔して骨の成長が止まるというのがその話の根拠らしいのですが
一体、本当に子供のトレーニングに身長を止める原因があるのでしょうか?
骨の成長は筋肉より強い
結論から言うと『子供の時に(成長期)に筋肉を鍛えると身長が伸びない』は科学的な裏付けはありません。
研究結果においても、筋肉が抑えつける力より骨が成長しようとする力のほうがはるかに強いことが分かっています。
ではなぜ、「成長期に筋肉をつけると背が伸びない」説がこんなにも世間に蔓延しているのでしょう?
身長が伸びるとは主に骨の成長です。その中でも最大の要因は長管骨の成長です。
長管骨の端には骨端軟骨(成長軟骨、骨端線)がありそれが成長していきます。軟骨性骨化という現象で成長期が終了すると軟骨は骨化して骨端線は閉鎖します。
人の身長ってどの時期に伸びるんでしょう?
人間の成長期は大きく3つあります。発育期とか色々区分けの仕方があるのですが、ざっくりいきます。
第一成長期 : 乳幼児期
第二成長期 : 前思春期
第三成長期 : 思春期
第1成長期とは生まれてから3~4歳頃までの乳幼児期。
第二成長期はそれから思春期が始まるまでの前思春期。
第3成長期は思春期です。
それぞれの時期の成長に重要な因子として乳幼児期には栄養が、前思春期には成長ホルモンが思春期には性ホルモンがあげられています。
おそらく皆さんが気にしているのは最終身長の事だと思いますので、思春期である11歳~18歳のあいだに迎える成長期だと思います。
一般的に第2次成長期は女性のほうが早く迎えます。これは子供を産むための準備が必要になるからです。
第二次性徴という性の成長が始まり完成するころには完全な大人となりますので大体はこの位に大きな身長の成長は止まります。
女性はこの第二次性徴が男性よりも早いので男性よりも身長が低くなりやすいです。
身長と筋トレの関係を教えて!
上で書いたように筋トレは身長を止めることはありません。
まず骨の成長には皆さんが知るように成長ホルモンが必要です('ω')
筋トレにはこの成長ホルモンの分泌を促進する働きがあります。
有酸素運動にも筋トレにもこの成長ホルモンの分泌促進効果は期待できますが、筋トレの方がより多くの成長ホルモンを分泌させます。
成長ホルモンは骨や筋・その他の臓器を修復、成長させます。
骨の成長には骨に対する荷重(メカニカルストレス)、十分な栄養(ビタミンD、タンパク質、カルシウム)
そしてこの成長ホルモンです('ω')大事な事なので2度いいましたw
このように年齢に見合った適切な運動は寧ろ身長の延長に有利なのです
特に下肢の筋力トレーニングはマイオカインというアナボリックホルモンを放出しますのでより成長に有利です。
ただし、トレーニングは筋の発達やATPの消費などエネルギーをたくさん使いますので栄養はより多く必要となります。
第二次性徴を知ろう
思春期に入ると性的な成長を遂げて男性はより男性らしく、女性はより女性らしくなります。
これは大人になる準備で身長は伸びづらくなり第二次性徴の終了時期は身長もとまります。
この第二次性徴では男性はより筋肉質になります。
つまり、『筋肉をつけたから身長が止まった』のでは無く『身長が止まったから筋肉がついてきた』ということです
では、出来るだけこの第二次性徴を遅らせれば身長は高身長化しやすいということになりまよね?
そんなことができるのでしょうか?
これは個人差があり遺伝性なのでコントロールは難しいです。
しかし、虐待や体罰をうけるなどの身体的ダメージを頻繁に受けると子供はより早く大人に成長しようとし
筋力をつけて対抗しようとします。
そのため低身長で筋肉質な成長をしやすいとも言われています。残念ながら研究が困難でどの程度のエビデンスがあるのかは定かではありません。
ただし筋力トレーニングが極度に厳しい場合にも身体的ダメージが大きいと脳が判断した場合第二次性徴が早まる可能性はあります。
成長に合わせた適度な運動を心がけましょう('ω')
年齢にあったトレーニングをして身長を伸ばそう
幼児期(5歳~8歳)には、多種多様な動きを含む遊びをたくさん経験させましょう。
幼児期には筋肉ムキムキにはなりませんが、リンパ系や神経系の発達には運動は非常に有効です。
特にこの段階での運動は脳の発育にも有効であり、積極的に遊びをいれていきましょう。集中力や体力の向上につながります。
9歳~12歳はスポーツに必要なスキルの発達や筋力トレーニングも入れていきましょう。
この段階での運動は自重トレーニングが有効でしょう。ダンベルやバーベルの運動よりも自重で十分です。如何に体を上手に使っていくのかがカギになります。
そのため走ったりスクワットも積極的に取り入れましょう。ジャンプや階段昇降もいいと思います。
中学生(13歳~15歳)は、身長がグングン伸びてオスグッド・シュラッター病のように筋肉の発達と骨の延長により激しい疼痛により運動に支障が生まれることもあります。
ここから第二次性徴が発生して筋肉が非常に発達しますので筋の直径が太くなり身体が固くなってくるのもここら辺からです。
ストレッチの重要性が一気に高くなります。運動前後でのストレッチを心がけましょう。
高校生(16~18歳)になったら筋肉の発達がより一層顕著となり、人によっては骨端線が閉鎖して身長が止まる時期です。
パワー・瞬発力をつける筋トレや瞬発力系のトレーニングが効果的ですので、プライオメトリックスなどの運動も積極的に取り入れましょう。
それ以上の年齢になれば競技性にもよるでしょうがフリーウエィトや高負荷トレーニングにも耐えられる年齢です。
トレーニングには筋力トレーニング以外にもスキルトレーニングやイメージトレーニング、俊敏性トレーニングのように色々なトレーニングがあります。
反動が大きく成長軟骨が潰れるような激しい運動は高校生から社会人になるまでは控えた方がいいと思います。
正確な負荷量やより詳細な内容は別の記事で書いていこうと思います。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございます('ω')