用語 筋肉

筋収縮の様式ごとの特性とは?どの運動があなたにピッタリ?

筋の収縮様式とは?

等尺性収縮

筋の長さが変化しない収縮様式であり、主に姿勢保持や関節を固定するために使います。

収縮力は求心性収縮よりも大きく、筋の全長が変化しない事から静止性収取ともいいます。

等張性収縮

収縮中に筋の張力は変化しないが長さが変化する収縮様式です。

求心性収縮

等張性収縮の中でも起始と停止が近づき、筋の全長が短くなる収縮様式のため求心性収縮や短縮性収縮といいます。

例として肘を曲げる際の上腕二頭筋や、膝を伸ばす際の大腿四頭筋などが当てはまります。

収縮様式の中で力は最も弱い収縮様式です。

遠心性収縮

等張性収縮の中でも起始と停止が遠のき、筋の全長が長くなる収縮様式のため遠心性収縮や伸張性収縮といいます。

速度を落としてブレーキをかける際の収縮様式です。

例としてスクワットや椅子に座る際の大腿四頭筋などが当てはまります。

収縮様式の中では最大の力を発揮します。

等速性収縮

等張性収縮の中でも速度を一定に保つ収縮様式です。

自然の中では存在せず、機械によってのみ得られる特殊な収縮様式です。

例として自然な収縮の中で近いものを上げるのであれば水中の運動がそれに該当します。

水泳選手のバタ足やストロークがあてはまります。

プライオメトリクス

随意収縮に伸張反射を加えて収縮速度を増加したものです。

簡単に言えば反動を使ったバネのある動きです。

例としてはジャンプなどが該当します。

特にボックスジャンプなどは着地の際に引き延ばされた筋肉の弾性力と伸張反射、随意収縮が重なり大きな力を得ます。

筋トレの原則に照らして考えてみよう

①過負荷の原則

筋の活動力を高めるためには、日常で使用するよりも強い運動刺激(オーバーロード)を筋または、神経筋に課す必要がある。

筋力が強くなるごとに負荷量を増やしていく必要がある。

②漸進性の原則

筋力レベルの増加に合わせて次第に負荷刺激(強度・量・仕事率など)を高めていくこと。同時にトレーニング種目や負荷のかけ方(負荷方式)などを高度化・効率化・細分化していくこと。

デローム(Delome)の方法が有名

③継続性の原則

筋と筋力の高度な発達のためには、強い意志の下で目的に合ったトレーニングを長期間継続していく事が必要である。

単発的な運動では筋肉は肥大しません。継続的に行うことで筋は発達します。

④全面性の原則

全ての体力要素をバランスよく、トータルに高めていく事。

筋力トレーニングにおいては、全身の筋群と筋力(基礎的な筋力)をバランスよく強化すること。

⑤特異性の原則

トレーニング効果の特異性に基づき目的に合った運動条件(負荷様式・強度・速度・関節角度など)を選択してトレーニングすること。

速いパンチは早く収縮させ、太い筋肉なら大きな負荷を、持久力が必要なら低負荷高回転を課します。

⑥個別性の原則

「年齢、性差、体力、健康状態、トレーニング目的、トレーニング経験など」、個人差をよく考慮したうえで、トレーニング内容を選択すること。

その人の特性にあったトレーニングが必要で一律の運動では効果は期待できません。

⑦意識性の原則

トレーニング理論(目的、方法、効果)についてよく理解し、常に目的意識と向上心をもってトレーニングに取り組むこと。

 

近年の研究で過負荷の原則も変わってきました。

以前までは徐々に高負荷にしていく必要がありましたが、近年では負荷量よりも総仕事量が筋肥大に重要であることが分かっています。

どういう意味かというと、ダンベルの重さを5㎏20回でカールした場合の仕事は5×20で100の仕事だとします。

それならば20㎏を5回実施した場合と同様だと考えるわけです。

その方法ならば100㎏のベンチプレス2回は、50㎏を4回でも良いということになります。

実際はRMの量は単純に半分の負荷であれば回数2倍にすればよいとは言えませんが、考え方的にはこのようなものです。

さて話がそれたので本題に戻りますが、この収縮様式においてこの原則に当てはまるのはどれでしょうか?

 

特異性の原則ですね。

この特異性の原則というのは筋力発揮は筋肉の鍛え方でその特性が決まるというものです。

求心性収縮であれば力が弱いが速度が速く、遠心性収縮であればブレーキなので減速に適した鍛え方です。

また遠心性収縮の発揮する力は大きいので筋力強化には有効です。

では、このような収縮様式の特性について考えて行きましょう。

筋の収縮様式ごとの特性とは?

 

等尺性収縮(アイソメトリック)

 

関節を動かさない筋収縮の方法です。

・力の発揮は求心性収縮よりも強く、遠心性収縮よりも小さいです。

・関節を固定できることから、姿勢保持に役立ちます。大きな力は中枢の固定性があることで発揮されます。

・関節角度特異性の原理から、関節の可動性がない収縮なのでダイナミックな動きではその力は発揮されない。

・運動時の血圧が上がりやすい収縮様式

・ヘッティンガー(Hettinger)の方法が有名

関節角度特異性

筋肉はその鍛えた角度の中でしか最大の力は発揮できないというものです。

正確には等尺性収縮の角度±20°以上の範囲では筋力を十分に発揮できないというものです。

メリット

・ギプス固定や術創部の開大リスクがある場合に適応(パテラセッティングなど)

・姿勢保持に適している

・比較的場所を取らずに筋トレが出来る

デメリット

・特異性の原理により運動範囲が狭いことからダイナミックな運動学習が出来ない

・血圧が上がりやすい

・ヘッティンガーの負荷は主観的で運動強度が分かりづらい

等尺性収縮における筋力増強運動法の強度と時間

ヘッティンガーの報告

  1. 最大筋力の20%以下の筋力を発揮するトレーニングではトレーニングを行っていても低下していく。
  2. 最大筋力の20~30%の筋力を発揮するトレーニングではトレーニングを行っていても筋力は増加しない。(低下もしない)
  3. 最大筋力の40~50%以上の筋力を発揮するトレーニングでは筋力は向上する。

等張性収縮(アイソトニック)

デロームの漸増抵抗運動 progressive resistance exercise(PRE)が有名です。

筋力を増強したい関節運動に対して重錘やマシンによる一定量の負荷抵抗を行い、その際に反復できる限界の回数(RM;repetition maximum:最大反復回数)から筋の発揮水準を推定します。

デロームは最大10回反復できる回数10RMを決めて10RMの10%の負荷~段階的に負荷を増やしながら最終的に10RMを行わせる方法を推奨しています。

※強度としての10RMは週に1回の見直しを必要としている。

 

注意点

10RMの実際の測定は難しい。10RMを探す間に疲労や慣れにより負荷量が変動することが多い。そこで1RMを測定してからその80%程度に設定する方が簡便です。

これも高齢者には結構大変です。

関節が固く筋の柔軟性も低下しているので怪我をしやすく一気に1RMを測定するのは難しいですね。怪我のないように、ある程度の手順を踏むと良いでしょう。

 

RMの測定方法は直接法と間接法の2種類あります

 

直接法

自分で予測して1回のみ挙上や牽引などが可能な1RMを繰り返しの中で探します。

間接法

間接法は、一定のリズムでフォームを崩すことなく反復動作ができる重量と回数を自分で予測した後に、実際に挙上・牽引できた最大反復回数と取り扱った重量から1RMを換算します。

この方法は直接法と比べて最大筋力以下で測定を行うので筋疲労が少なく、測定時間の縮小と手間の簡便化が図られています(有賀2001)

要するに%RMと回数の換算表を用いることで大体の現状の筋力と目標負荷が分かるということです。

病院や施設の利用者の方はそのほとんどが、トレーニング初心者です。

初心者はトレーニングの際に最大筋力を発揮することは難しいですし、怪我の心配もあります。

高齢者の場合は特にリスクが高いので間接法が良いでしょう。

山内賢:慶應義塾大学体育実技「フィットネストレーニング」履修者における 骨格筋量と筋力トレーニング種目別最大筋力(1RM)の実態調査報告より引用改変

換算表を使って1RMの測定をしてみましょう

山内賢:慶應義塾大学体育実技「フィットネストレーニング」履修者における 骨格筋量と筋力トレーニング種目別最大筋力(1RM)の実態調査報告より引用

このように実際に測定し、換算表を使うことで安全に負荷量を設定することが出来ます。

この方法も運動種目や運動速度によって異なるので多くの換算表がありますので、クライアントの運動種目や鍛える目的にあったものを使用しましょう。

目的に沿った%RMはこの表を使ってください。

等速性収縮(アイソキネティック)

この筋収縮は速く動かそうとすると抵抗が大きくなり、ゆっくり動かすと負荷が小さくなるので、どんな速度やパワーで動かしても一定の速度になるように負荷が調整されます。

自然な収縮では存在しないため、マシンが必要ですが、これに限りなく近いのが水の抵抗です。

水は流体なので速度が大きくなると定抵抗が強くなるので水中運動は限りなく等速性運動になります。

メリット

・運動速度を低速度から高速度まで任意に設定した条件でトレーニングができます。(マシンの特性)

・短縮性、伸張性の(往復運動中にどちらかのみ、もしくは両方組み合わせての)トレーニングができます。(スポーツに有効)

・ 自分が出力した力とほぼ等しい抵抗が得られるため、無理のないトレーニングとなり、また最大努力を行えば最大抵抗によるトレーニングができます。(これが一番重要)

・ 筋出力途中で筋力を緩めると抵抗も無くなることで痛みや違和感がある領域に無理な抵抗を受けません。(苦手な可動域の部分はゆっくり動かせます)

・筋疲労が起きても可動域をほぼ保ったままでの繰り返し動作を続けることが可能です。(追い込みに有効です)

・関節運動中に変化する「筋力に適応した抵抗=トルク」が得られるため全可動域にわたって効率の高いトレーニングができます。(関節角度特異性に有効)

このように、どの運動に関してもほぼ適応する高いメリットがあります。

デメリット

・水中や特殊な機械を用いることでしか出来ないので高額且つ場所を選びます。

 

プライオメトリクス

爆発的な運動で筋パワーを高めます。

筋力を収縮力とすれば筋パワーは速度や距離が加わった仕事率と言えます。

分かりやすく言えば握力は握ったままで距離はあまり動かないので筋力、パンチは動きがあり、速度もあるので筋パワーだと思ってください。

プライオメトリクスは筋トレの常識である『反動をつけない』と真逆で反動をつけて動きます。

実際の競技性を考えればこの方法がもっとも自然な動きです。

ただし、筋力以外に直列弾性要素(腱)などの弾性力を用いたり、伸張反射を用いているので筋肥大だけを考えるのであれば反動は邪魔になります。

あくまで筋パワーをつけたり、スポーツの動作の習得などが目的ですね。

メリット

・爆発的な動きで高いパワーとアジリティがを得られる。

・大きなエネルギーを使うためダイエットにも有効

デメリット

・反動を使うため怪我のリスクが高い

 

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。

中々書くのが遅いので、読んでくれる方にはお待たせしてしまうのですが、少しずつ増えていく予定です。

今後は筋力などに関しても少しずつ、まとめていくのでお楽しみください。

 

 

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